コメダが“コッペパン”に注力し始めた理由長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/3 ページ)

» 2017年11月07日 06時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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コッペパンのポテンシャルに期待

 ドトール、コメダのような大手コーヒーチェーンが、コッペパンに着目する理由は、コッペパンが持つのポテンシャルの高さにある。

 東京では2013年、亀有に「吉田パン」がオープン。人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の聖地であり、下町の懐かしさを残した街の雰囲気ともマッチして、たちまち行列店となった。

 吉田パンは、岩手県盛岡市のソウルフードと呼ばれるコッペパン専門店「福田パン」で修業した店主がオープンさせており、盛岡方式、または福田パン方式ともいうべきコッペパンを東京に持ち込み、コッペパンの概念を変えたと言われている。

 そのやり方とは、オープンキッチンで顧客の注文を聞き、焼きたてのパンにその場で具材を塗ったり、挟んだりする「日本版サブウェイ」のような、でき立てを提供するコッペパン・サンドのシステムである。しかも具材は自家製にこだわる。

 吉田パンで扱うトッピングの種類は期間限定を含め40種類ほどだが、お好みでホイップ、ハム、チーズを加えることができ、実際は100種類以上のバリエーションが楽しめる。値段は180〜450円。

 この盛岡方式を「パンの田島」「コメダ謹製 やわらかシロコッペ」も取り入れている。ちなみに「イアコッペ」(上野)、「(食)盛岡製パン」(市川市行徳、狛江)、「カーラアウレリア」(日本橋)など、都内で続々と生まれているコッペパン専門店も盛岡方式だ。

 福田パンの創業者、福田留吉氏は「安い値段で学生を満腹にさせたい」との思いから、独自のコッペパンを開発。岩手大学の売店を振り出しに、市内の高校・大学に販売先を広げ、スーパーマーケットの出張販売、百貨店の催事でも人気になったという。

 個人でも一発当てられるような業態でもあり、盛岡式コッペパンの興隆は、ドトール、コメダの参入により、ますます面白くなっていくのではないだろうか。

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。


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