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» 2017年11月30日 16時22分 公開

レシピサイト大手がついに動く:クックパッド、料理動画へ本格参入 「動画でナンバー1」

レシピサイト大手のクックパッドが料理動画に本格参入する。他社サービスがユーザー獲得を競い合う中、「動画でもナンバー1」になれるのか。

[青柳美帆子,ITmedia]

 レシピサイト大手のクックパッドが、ついに料理動画に本格参入する。目指すは、「料理動画数」「料理動画広告」「料理動画ユーザー課金」という3領域でのナンバー1だ。

 料理動画は国内のインターネットでも急成長しているカテゴリーだ。delyの「kurashiru(クラシル)」、エブリーの「DELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)」、 BuzzFeed Japanの「Tasty Japan」などがユーザー獲得を競っている。1分程度で閲覧できるレシピ動画が料理好き層以外にもリーチし、支持を広げている。各社CMなどを積極的に投入する成長分野だ。

 クックパッドのレシピサイト事業「クックパッド」は、約6000万人のユーザーを擁し国内トップ。しかし料理動画事業では、以前からレシピ動画「クックパッド料理動画」を展開していたものの、新規プレイヤーに押されている。

クックパッドが料理動画に本格参入
岩田林平代表執行役

 クックパッドの岩田林平代表執行役は、「これまでの20年は、日本中の料理の作り手の『今日何を作ろう』という課題の解消を目指していた。これからは、世界中の料理の作り手のさまざまな量に関する課題を解決したい」と語る。

 2017年はさまざまな料理動画サービスがテレビCMを展開したが、クックパッド内でのレシピ検索数は前年と大きな変化はなく、「レシピ検索は料理動画の影響を受けていない」という。また、料理動画のアクセスピークが「早朝〜出勤」「昼休み」「就寝前」などのオフタイムなのに対し、レシピ検索のアクセスピークは夕方〜夜の「買い物時間前後」。

 岩田氏は両者の違いを「料理動画に求められているのはエンターテインメント性のある受動的な情報。一方、レシピ検索は、ユーザーが買い物時に効率的にレシピを決めるための能動的な情報」と説明し、ニーズが異なると語る。エンターテインメント性のある料理動画によって、料理頻度の低い層の料理頻度や、新しい料理との出会いが増えるとともに、静止画+テキストのレシピの需要は変わらずに存在するとみる。

 「クックパッドの企業理念は、料理を作る人を増やすこと。料理動画が一般化していくことで、料理人口は拡大していく。6000万人というユーザー基盤をもとに、動画領域において圧倒的ナンバー1のサービスを作ることを目指す」(岩田氏)

ユーザー投稿で料理動画をナンバー1に

 クックパッドが掲げるのは、「料理動画数」「料理動画広告」「料理動画ユーザー課金」それぞれでのナンバー1だ。

 他社サービスのほとんどは、サービス運営者が料理動画を作成している。クオリティーを担保できる一方で、料理動画数を増やすことが難しい面がある。クックパッドは、運営による動画作成と同時に、レシピの作者が動画を制作するユーザー投稿も募り、両方面で動画数を増やす戦略を取る。

 しかし、画像やテキストとは異なり、一般ユーザーが自ら料理動画を撮影、編集するのは容易ではない。そこでクックパッドは、日本全国に料理動画を撮影できるスタジオ「cookpad studio」をオープン。撮影者を対象に無料開放するという。初心者でも簡単に料理動画の撮影と編集が可能な専用アプリを開発し、スタジオ利用者に提供する。

 1号店は東京・代官山に12月10日オープン予定。完全予約制で、予約を12月1日から受け付ける。クックパッドの利用者が多いエリアを中心に、順次開店していく。店舗運営には、調理師や管理栄養士免許を持っているスタッフも参加し、十分なサポート体制を用意する。今後はユーザーとの交流イベントや、企業のキャンペーンイベントなどを開催する構想もあるという。

スタジオをオープン

 「クックパッドのサービスを利用しているユーザーは、SNSとの親和性がある。投稿者を増やすには、熱量が高い少人数の人にまず参加してもらうことが非常に重要。SNSでの自己表現のモチベーションが高い方々をうまく巻き込んで盛り上げていきたい。まずは代官山の拠点をしっかり運営し、全国に広げていく」(岩田氏)

料理動画広告「cookpad storeTV」

 料理動画広告領域では、スーパーなどと連携した料理動画の配信を行う「cookpad storeTV」をスタートする。店舗の生鮮売り場にサイネージ端末を設置し、売り場と連動した料理動画を配信する。さまざまな具材や地域性に合わせた動画を用意し、店舗側が売り場に合わせて選択できる。例えば豚バラ肉の特売を行う店舗が、豚バラと他の商品を組み合わせた料理を流し購入を促進する――といった使い方ができる。

店舗と連動した「cookpad storeTV」

 17年8月以降、全国100店舗以上でトライアルを実施。対象商品の売り上げが大きく上がる結果が出ており、「実際にユーザー購買につながる。食品・飲料メーカーなどの広告主にとっても訴求力の強い広告になる」と自信を見せる。また、サイネージ端末の操作性もトライアルでは好評で、稼働率は予想よりも高いという。12月から1000店舗で配信をスタートし、5000店舗への早急な拡大を目指す。

 もう1つの領域である「料理動画ユーザー課金」については、今後詳細を発表するという。

 レシピ動画サービスでは有料会員が減少しているクックパッド。その理由を岩田氏は「ここ数年のクックパッドは、生活領域に多角化をしており、リソースや人材を周辺事業に投資していた。そのため、レシピサービスへの投資は明らかに少なく、細かい回収やアップデートにとどまっていた。今はアプリなどの改善のさまざまなテストを行っている」と振り返り、レシピ事業への投資を強化する方針を示した。

 「料理」という主力事業に、再び全力で投資を始めたクックパッド。強豪がひしめく中で「動画でもナンバー1」になることができるのか。

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