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» 2017年12月05日 08時00分 公開

スピン経済の歩き方:なぜ日本のおじさんは、貴乃花親方にイラついてしまうのか (3/5)

[窪田順生,ITmedia]

組織人が事件を解決するのは難しい

 今回のような事件は、相撲協会やその意向を「忖度」してしまう組織人では決して解決できない。

 なぜかというと、暴行を働いた日馬富士を含め、流血するまで傍観していた白鵬など横綱が3人も関わっている事件だからだ。

 組織内で「力」をもつ人間が関わる不正というものは、弱い立場からの主張は握り潰されるのは世の常だ。それは組織の体質が古いとか新しいとかは一切関係ない。

 分かりやすいのが、Uberのセクハラ事件だ。ご存じの方も多いだろうが、このシリコンバレー発の最先端企業で働く女性が、上司からセクハラを受けていると人事部に告発したものの、「自分は何が違法で何が違法でないか熟知している。キミのことを切ろうと思えばいつでも簡単に切れる」と逆に脅され、クビに追い込まれたのである。

 理由はシンプルで、このセクハラ上司は社内で「ハイパフォーマー」と呼ばれるエリート社員だったのだ。会社に貢献する稼ぎ頭ということで、社内ではやりたい放題で、誰もとがめられなかったというのだ。

 もし仮にUberの第三者委員会みたいなものがたちあがって、調査を始めたとしても、できあがる報告書は相撲協会危機管理委員会のように「加害者擁護色」の強い内容になったことだろう。ハイパフォーマーに辞められでもしたら、組織の大きな損失だからだ。

 ここまで言えば、なにを言わんとしているかお分かりだろう。現在、幕内の20%を占めるモンゴル人力士たちの頂点に君臨する、白鵬、日馬富士、鶴竜という3人のハイパフォーマーががっつりと関わっている「事件」である。

 Uberがセクハラ被害者の声を黙殺したように、相撲協会が平幕力士、貴ノ岩の主張をネグってしまうと考えるほうがよほど「筋」が通っている。

 実際、12月3日に発売された『週刊ポスト』には、貴乃花親方が警察よりも先に相撲協会に報告をしていたという証言が掲載されている。親方自身がなにも語らないなかで、事実かどうかはまだ確かめようがないが、Uberのセクハラ被害女性と同じように、相撲協会に対して失望し、その自浄能力に対して不信感を抱いたのであれば、警察へ被害届を出して後は黙して語らずという対応は、至極まっとうな状況判断なのだ。

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