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» 2018年01月12日 07時00分 公開

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:映画に演劇も 2018年期待の鉄道エンターテインメント (1/4)

新年の鉄道を俯瞰する「おせち記事」のなかで、見落とされている分野がエンターテインメント。実は今年、鉄道をテーマにした映画や演劇が豊作の予感だ。

[杉山淳一,ITmedia]

 新路線の建設、存廃が心配される路線、新型車両の登場と旧型車両の引退……。新聞や雑誌、オンラインメディアでは新年に欠かせない話題だ。ならば私も……と思うけれど、手法としては各社の公式発表のまとめにすぎず、同じ内容の繰り返しになってしまう。松の内を過ぎたお節料理のような記事では本誌の読者諸兄に申し訳ない。

 そこで趣向を変えて「鉄道をテーマとしたエンターテインメント作品」を挙げる。実は、2018年は鉄道をテーマとした作品が多い。大ヒットした映画『RAILWAYS』シリーズの3作目、鉄道ビジネス分野でベストセラーとなった書籍の映画化、列車の車内を舞台とした演劇作品の新作もある。

『かぞくいろ』

 ――『RAILWAYS』シリーズ最新作。主演は有村架純。18年公開予定。(公式サイト

photo 『かぞくいろ』公式サイトより

 鉄道映画としてはビッグタイトル。しかも旬の女優、有村架純さんの起用で期待が高まる作品だ。有村さんは13年に三陸鉄道がロケ地となったNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』で知名度を上げ、17年の『ひよっこ』で主役。年末のNHK紅白歌合戦で司会を務めた――などと、もう説明の必要がないくらいの大物だ。

 そして真の主役、鉄道路線は熊本県と鹿児島県にまたがる「肥薩おれんじ鉄道」である。九州新幹線鹿児島ルートが全通する前のJR九州、鹿児島本線。現在は地域輸送が主体のローカル鉄道だ。経営は厳しく、熊本県側が運営基金を全額取り崩して抜本的な資金対策を実施した経緯がある。しかし、いわば背水の陣で仕掛けたレストラン列車「肥薩おれんじ食堂」が話題となって、全国の観光列車のなかで存在感を堅持する。

 有村さんが演じる主人公はシングルマザーで、鉄道が好きな息子のために鉄道の運転士になるという設定だ。15年に映画『ビリギャル』で受験生だったというのに、もうお母さん役だ。シリアスなドラマだろうけれど、かわいい鉄子ママなんだろうな、と期待する。肥薩おれんじ鉄道はワンマン運転だから、運転士と乗客のふれあいも描かれるだろう。若いシングルマザーが、安全第一の堅い職場で成長していく。その姿に共感する女性も多いと思う。

 もう1人、主人公と心を通わせるシングルマザー役として鹿児島県出身の桜庭ななみさんの出演が発表されている。彼女も母親役としては若い。他に、主人公の義父でもある先輩運転士役として國村隼さんが出演する。國村さんはかつて『萌の朱雀(1997年)』で未成線の建設工事に携わった人物を演じていた。

 監督の吉田康弘さんは、2013年に江ノ島電鉄沿線を舞台とした『江ノ島プリズム』を手掛けた。江ノ電がタイムマシンとなり、福士蒼汰さん演じる主人公を過去へ戻してしまうというコメディー映画だった。鉄道現場の撮影経験があるという意味で安心だし、今回は肥薩おれんじ鉄道の魅力をどのように引き出していただけるか、期待が高まる。

 本作品は10年に中井貴一さん主演でヒットした『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』、11年の三浦友和さん主演『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』に続くシリーズ3作目。物語に連続性はないけれど、2作目の富山地方鉄道の駅で、1作目の一畑電車のパンフレットが映るという仕掛けがあった。今回はタイトルに『RAILWAYS』を冠していないから仕切り直しの意図もあったかと思うけれど、前作から続く小ネタにちょっと期待している。

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