既存店伸び悩むコンビニ 客足減に歯止めをかけられるか既存店売上高3年ぶり減

» 2018年01月22日 17時51分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 コンビニの成長が転機を迎えている。日本フランチャイズチェーン協会が1月22日に発表した2017年のコンビニエンスストア統計調査によると、店舗売上高は全店ベースで前年比1.8%増。一方、既存店ベースでは0.3%減となり、3年ぶりに前年を下回った。店舗数増加が続き、市場全体は拡大しているが、既存店は足踏み状態。客数減少に歯止めをかけることが課題になっている。

photo コンビニは店舗数拡大が続いているが……

客単価は好調だが、客数が増えない

 既存店売上高が減少した理由は、来店客数の減少が大きい。既存店の客数は1.8%減。店舗数(12月末時点)が3.2%増えているのにもかかわらず、全店ベースでも0.7%増にとどまった。ドラッグストアやインターネット通販など、他の業態との競争激化などが影響している。

 一方、客単価は好調。年間平均客単価は、全店ベースで1.1%増の618.2円、既存店ベースで1.5%増の611.5円だった。同協会によると、店内調理品などのカウンター商品や弁当、総菜、サラダなどの中食、デザート、冷凍食品などが好調だったことが客単価向上に寄与した。店舗では、少子高齢化、単身世帯や共働き世帯の増加などに対応する商品の品ぞろえを充実させている。

 17年12月の店舗売上高は、全店ベースで58カ月連続のプラスとなった。しかし、既存店ベースでは7カ月連続で減少。17年後半から伸び悩んでいる。既存店の来店客数は22カ月連続で減少しており、歯止めがかからない状態だ。

 大手各社が公表している統計でも、店舗数の増加によって全体の売上高は増加傾向にある。しかし、既存店は苦戦している。

 最大手のセブン‐イレブン・ジャパンは、17年10月の既存店売上高が前年同月比0.5%減。63カ月ぶりに減少に転じたことが注目された。11月も0.1%減とマイナスが続き、12月に3カ月ぶりに増加した。客単価が上昇している一方で、7月以降の客数は伸び悩んでいる。

 ローソンも傾向は同じ。10月の既存店売上高は4.0%減少し、4カ月ぶりのマイナスだった。11、12月も減少し、3カ月連続で前年割れが続いている。

 ファミリーマートは12月まで、既存店売上高が7カ月連続で前年を下回っている。客数の減少が大きく響いているようだ。

幅広い客層の獲得を目指す

 店舗数拡大による成長もいずれ頭打ちになる可能性が高く、既存店の客数回復が喫緊の課題。各社はサービスや商品の幅をさらに広げ、幅広い客層を獲得しようとしている。特に高齢者の生活のインフラとなるための取り組みは活発だ。ローソンやファミリーマートは、ドラッグストアや介護拠点との融合店舗を増やしている。セブン‐イレブンも異業種と連携し、食事の宅配などのサービスを拡充している。

 新しい取り組みも目立つ。ファミリーマートは18年2月、コンビニ店舗を併設した、24時間営業のフィットネスジムを東京都内にオープンする計画。また、18年春からはコインランドリーサービスの展開を開始。幅広い客層を店舗に呼び込むため、矢継ぎ早に手を打つ。

photo ファミリーマートが展開を始めるフィットネスジムのイメージ(ニュースリリースより)

 これまでコンビニをあまり利用しなかった層を取り込むためには、高齢者や主婦などを意識した、さらなるイメージ転換とサービスの充実が求められる。拡大を続けるコンビニはこれから、どのような姿に変わっていくのだろうか。

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