アプリ激戦区「レシピ動画」「マンガ」、“勝者”は?2017年のランキングから探る

» 2018年01月30日 15時30分 公開
[ITmedia]

 2017年は「レシピ動画」と「マンガ」アプリが注目された1年だった。レシピや料理の方法を短い動画で紹介するレシピ動画は、数々の新興プレイヤーが参戦。11月には料理レシピ最大手のクックパッドが本格参入を発表した。スマホで気軽にマンガが読めるアプリも、出版不況の中で出版社の“活路”として期待が寄せられている。

 スマートフォンアプリ市場データを提供するApp Annieは1月30日、17年のスマホアプリのダウンロード数と収益ランキングを発表した。レシピ動画とマンガアプリにおいて、17年の“勝者”は誰だったのか。

レシピ動画がトップ10入り

 レシピ動画アプリは「kurashiru」(dely)、「DELISH KITCHEN」(エブリー)、「ゼクシィキッチン」(リクルートホールディングス)、「Tastemade」(Tastemade)、「mogoo」(スタートアウツ)――とさまざまなプレイヤーが競っている。この中で、日本のダウンロードランキング(ゲーム除く)でトップ30に食い込んだのが、「DELISH KITCHEN」と「kurashiru」だ。

 「DELISH KITCHEN」は、「LINE」「Yahoo!JAPAN」に次ぐ3位。「kurashiru」も8位とトップ10入りを果たした。App Annieによると「レシピ動画カテゴリーは17年に初めてできた。この2アプリがトップ10に入るのは、17年を象徴している」という。

レシピ動画アプリがダウンロードランキングトップ10入り

 エブリー共同創業者の菅原千遥さんは「16年にリリースした『DELISH KITCHEN』は、もうすぐ1000万ダウンロード。主婦の『今日何を作ればいいのか分からない』という課題を解決することを目指してやってきたが、ダウンロード数を見ると少しは役に立てているのかなと思う」と振り返る。今後はオフラインの領域にも広げる施策を展開したいという。

新興勢力「ピッコマ」食い込む

 2016年のアプリ(ゲーム除く)の収益ランキングにおいて、マンガアプリからは2位に「LINEマンガ」(LINE)、9位に「少年ジャンプ+」(集英社)、10位に「マンガワン」(小学館)がランクインしていた。17年はトップ30に9個のマンガアプリが入り、さらに激戦区となっている。

収益ランキング(赤枠は編集部加工)

 意外だったのは、17年のマンガアプリトップ3に変化があったこと。1位と2位の「LINEマンガ」「少年ジャンプ+」は変わらないが、3位が入れ替わった。韓国Kakaoの日本法人カカオジャパンが展開する「ピッコマ」が食い込んだのだ。

 「ピッコマ」は「待てば無料」――24時間待てば、次の話が無料で読めるマンガアプリ。チケットを購入すれば、待たずに続きを読めるシステムだ。16年4月にサービスを開始し、17年9月に累計500万ダウンロードを突破した。

 「LINEマンガ」の1700万ダウンロード、「少年ジャンプ+」の800万ダウンロード、「マンガワン」の1200万ダウンロード(いずれも累計)と比べると少ないように見えるが、収益では勢いがある。広告モデルではなく、“続きが気になる”マンガを広告でアピールしてユーザーを引き付け、購入者を増やしている。新規層も増えており、ダウンロードランキングでも24位に付けた。

 業界関係者はピッコマについて「成長スピードが驚異的。『待てば無料』というマンガアプリでは全く新しいビジネスモデルがここまで受け入れられるとは。『待てば読める』『待てなければお金を払って読む』という体験がユーザーにとって分かりやすかったのかもしれない」と衝撃を語った。

 わずか1年で大きく勢力図が変わるアプリ業界。18年の“勝者”は誰になるのだろうか。

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