吉永社長「きちんとありたい」 SUBARU、経営陣刷新で信頼回復へけじめをつける(1/2 ページ)

» 2018年03月02日 18時17分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 SUBARU(スバル)は経営体制を一新し、無資格者による完成検査などの問題にけじめをつける。3月2日、中村知美専務執行役員(58)が社長に昇格する人事を発表した。吉永泰之社長(63)ら経営トップ4人が退任。吉永社長は代表権のある会長に就任し、信頼回復に取り組む。

photo 吉永泰之社長(左)と次期社長の中村知美専務執行役員

データ書き換えも認める

 「個人としても、企業としても『きちんとありたい』と強く思っている」。都内で開かれた会見の冒頭、吉永社長はそう語り、信頼回復に向けて一歩を踏み出したことを強調した。

 2017年10月、資格を持たない検査員が完成車検査に関わっていた問題が発覚。12月には、出荷前の車の燃費データが一部書き換えられていた疑いも浮上していた。

 吉永社長は、データ書き換えに関する調査が最終段階に入っていることを報告。「完成検査工程で行われる抜き打ち検査で、燃費データと排ガスのデータの書き換えが実際に行われていた」と認めた。検査基準値の範囲内の書き換えであり、品質への影響はないというが、「大したことない、と申し上げるつもりはない。根っこにあるのは企業風土の問題」と述べた。

 近藤潤会長、吉永社長、日月丈志専務、笠井雅博専務の4人が6月の株主総会後に退任するが、吉永社長は代表権のある会長兼CEO(最高経営責任者)に就任。引き続き、問題の調査や信頼回復に向けた取り組みを進めていく。「『真に正しい会社』となることを掲げて、1月から取り組んでいる。信頼されるブランドを築くために、最後まできちんと取り組むことが責任の取り方」と説明した。

 6月に社長に就任する中村専務執行役員は、1982年に富士重工業(現SUBARU)入社。国内営業部門や経営企画部門などを経て、北米事業を担当。現在、米国法人のスバル・オブ・アメリカ会長を務めている。2011年からの7年間、販売台数を大きく伸ばして会社を成長させてきた吉永社長の後を引き継ぎ、かじ取りを担う。

 4月1日付で組織改正も実施する。吉永社長が担当する「正しい会社推進部」「コンプライアンス室」を新設。技術開発全体を統括する機能を本部組織化した「技術統括本部」も新設し、技術開発部門のマネジメントを強化する。

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