ジャニーズと日ハムに学ぶ、人材輩出企業の正しい在り方常見陽平のサラリーマン研究所(1/4 ページ)

» 2018年04月20日 08時00分 公開
[常見陽平ITmedia]

 このところ「雇用の流動化」という言葉をよく耳にする。「成長産業に人を動かし、国を成長させる」という大義名分と、「いらなくなった人、パフォーマンスが悪い人を合法的にクビにできるようにしたい」という下心が見え隠れしていて悩ましい。

 安倍政権の目玉法案とも言える「働き方改革国会」は視界不良で、「働き方改革」関連の法案が会期内に通るかどうかは微妙な状況になってきたし、野党から「定額使い放題」「スーパー裁量労働制」などと批判されている高度プロフェッショナル制度をめぐっては、今後も議論が紛糾することは間違いない。ただ、あくまで個人的な推測だが、働き方改革関連法案が通ると、見送りになっている裁量労働制と解雇ルール(解雇規制の緩和)が来年以降に提案されるのではないかと見ている。

 ところで「雇用の流動化」とは何か。新卒の学生がこれまで興味を示さなかった業界・企業に行くケースが増えそうだし、自社から人が辞めて他社に行くケースも増えそうだ。ただ、いかにもこれを推進したがっていそうな経済界のナカにも、勝手な願望を抱いている人がいる。

 先日、財界系の大規模なセミナーに識者として参加したときのことだ。その場で、「雇用の流動化」を主張する大企業の役員がいて、例によって「成長産業に人を」とか「パフォーマンスの低い社員を解雇しやすいように」と言っていた。どこかで聞いたことがある話が続いたあとで、「優秀な人に辞められては困る」「若者は3年で3割辞めるから困る」という趣旨のことを言い出したのだ。

 気持ちは分からないでもないが、ちょっと待ってほしい。矛盾していないか。都合がよすぎるのではないか。彼が「困る」と言った話は、「雇用の流動化」そのものである。だが、彼のような矛盾をはらんだ主張こそが、経済界の本音なのだろう。

雇用の流動化について、経済界の本音は?
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