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» 2018年05月10日 07時30分 公開

世界を読み解くニュース・サロン:まるで本物 「ディープフェイク」動画の危険性 (1/4)

欧米で新たなテクノロジーを使ったフェイクニュースが出現している。それは、実在の有名人を使って偽物の動画を作成する「ディープフェイク」だ。その危険性とは……

[山田敏弘,ITmedia]

 最近、「フェイクニュース」という言葉を日常的に見聞きするようになった。

 そもそもは、ロシアの工作員がSNSなどを駆使して、2016年米大統領選挙でヒラリー・クリントン候補を負けさせるような情報を拡散したことで広く知られた。

 大統領選以外でも、欧米諸国で世論を操作するためにフェイクニュースが駆使された。16年5月に英国で行われたEU(欧州連合)から離脱するかどうかの国民投票、17年5月のフランス大統領選、17年3月のオランダ総選挙と6月の英国総選挙などで、幅広くフェイクニュースが拡散された。

 以降、各地で問題になっているフェイクニュースだが、今、欧米では新たなテクノロジーを使った新次元のフェイクニュースが出現し始めているとして話題になっている。

 4月17日、YouTubeに興味深い動画がアップされた。米ニュースサイトのチャンネル、BuzzFeedVideoがアップしたその動画では、米国のバラク・オバマ前大統領がホワイトハウスとおぼしき部屋で座ってスピーチをしている(参考リンク)。

 「この動画でオバマが言っていることを信じられないだろう!」というタイトルのその動画の中で、オバマは「トランプ大統領はまったくもって完全なばか野郎だ」と語っている。

 実はこの本物のオバマがしゃべっているようにしか見えないこの動画は実は完全に「偽物」だ。声も口の動きも表情も全て、米国のコメディアンのもので、つまり完全な「フェイク」なのである。

 どういうことか簡単に説明すると、この動画は、いわゆる「アイコラ」の動画版なのだ。新しい人工知能(AI)テクノロジーを使って、まるで本物が動いているかのように見せることができる。その完成度は驚くほど高い。

photo 動画を活用したフェイクニュースが出現し、話題になっている
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