正露丸とスーパー銭湯がコラボ 製造で生じた成分が「入浴剤」に森林の香り

» 2018年05月18日 12時20分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 大幸薬品は5月18日、胃腸薬「正露丸」の製造過程で生じる成分「木酢(もくさく)液」を、入浴剤として全国の入浴施設に提供する新事業を始めた。“正露丸のお風呂”というキャッチ―さで認知度を高め、商品と企業のブランディングにつなげる狙い。正露丸特有のにおいは一切なく「木をいぶした、森林の中にいるような香りが楽しめる」(広報部)としている。

photo 木酢液を導入する「おふろの王様 志木店」(埼玉県志木市)

 入浴剤の原料となる木酢液は、正露丸の主成分「木(もく)クレオソート」をブナなどの樹木から精製する際に生じる。医薬品としては認可されていないが、リラックス効果などが得られるという。

photo 木酢液の作り方

 2004年から一般消費者向けに「木酢入浴液」として販売した結果、安定した需要があったため法人向けの展開を決めたとしている。

 大幸薬品は「100年以上の歴史を持ち、自然由来の成分を使用した正露丸をより多くの方に知ってもらいたいと考えた」と説明する。価格体系や売り上げ目標は非公開。

photo 正露丸とスーパー銭湯がコラボする

テスト展開でも高評価

 昨年12月から、東京建物リゾートが運営するスーパー銭湯チェーン「おふろの王様」の一部店舗でテスト展開を実施。顧客から「肌がすべすべになった」「血行が良くなった」「お湯が滑らかになった」――などと好意的な反応があったという。

 同チェーンでは現在、光が丘店(板橋区)、港南台店(横浜市)など7店舗で「木酢の湯」を展開中。今後も他店舗に拡大する計画だ。

photo 「おふろの王様」では高評価という

 京都のスーパー銭湯「玉光湯ひじりのね」(伏見区)でも6月からの導入が決定。木酢液と炭酸を配合したオリジナルの入浴剤を使用する予定だ。

 このほか、関東、関西、中部など各地方の入浴施設でも導入が決定しているという。

 多くの施設から引き合いがある理由について、同社は「『正露丸』と『お風呂』を組み合わせた物珍しさが集客につながると評価いただいている。長年の製薬事業で培ったノウハウや安全性も他社との差別化要因だ」と自信を見せる。

 今後は2〜3年以内に、全国の1200店舗へ導入を目指すという。

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