選抜総選挙10周年 AKB48グループがずっと守り続けているもの歩みを止めない(1/3 ページ)

» 2018年06月13日 06時30分 公開
[伏見学ITmedia]

 4月19日、深夜――。

 ニッポン放送のラジオ番組の中で、2018年のAKB48選抜総選挙の開催地がナゴヤドーム(名古屋市)に決定したと発表された。「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」と銘打って、6月16日に行われる。

2017年に沖縄で行われた選抜総選挙・開票イベントの様子(C)AKS 2017年に沖縄で行われた選抜総選挙・開票イベントの様子(C)AKS

 選抜総選挙とは、アイドルグループ・AKB48の最新シングル曲を歌う選抜メンバーをファン投票で決定するイベント。AKB48だけでなくSKE48(名古屋)やHKT48(博多)などの姉妹グループからも出馬できる。さらに第10回となった今年の総選挙は、BNK48(バンコク)やTPE48(台北)といった海外グループのメンバーも初めて投票対象になり、史上最多の339人が出馬する。

 選抜総選挙は09年から14年までは首都圏での開催だったが、15年からは舞台を地方に移している。ただし、毎年実施することや、開催場所が日本国内に限定されているといったことは、必ずしも決まっているわけではない。「その都度、関係者で議論して総選挙をどうするかを決めています。来年も開催するかどうかは現時点では分かりません」と、AKB48劇場支配人の細井孝宏氏は話す。

 AKB48グループには「絶対にこうすべき」というものはほとんど存在しない。物事を型にはめて考えないことが彼らのポリシーであり、スタイルなのだという。

 AKB48グループが誕生して十数年。率直に言って、全盛期のような勢いはないかもしれない。しかし、時代とともに常に変化し続けていること、ファンがあっと驚くような仕掛けを提供し続けていることが、選抜総選挙を数十億円規模の経済効果を生み出すビッグイベントに仕立て上げたと言えるだろう。

 選抜総選挙もマンネリ化しないために、毎回新たな視点が入れられている。10周年の節目となる今回は初めて公募という形をとった。応募条件は4つ。(1)屋根があること、(2)6月16日の前後数日間使用できること、(3)数万人収容できるスペースがあること、(4)数万人規模に対応できる宿泊施設があること、だ。

 これまでの選抜総選挙でもほぼ同等の条件で検討していたが、大きく異なるのは(1)の屋根である。ご存じの方も多いだろうが、これは昨年に沖縄県で開催された選抜総選挙の屋外イベントが台風の影響で中止となり、開票イベントのみ県内の公民館で、しかも無観客で行われた反省を受けてのことである。当時、細井氏も現場で対応に追われ、大雨が降りしきる中、代わりとなる会場を夜通しで探し回ったそうだ。(関連記事:AKB48選抜総選挙、沖縄開催の“本当”の理由

 「今回の会場を決める上で、屋根があることを僕は強く主張しましたね(苦笑)。もちろんファンの方々、メンバー、運営スタッフたちも皆、昨年の屋外イベント中止で大変な思いをしました。梅雨の時期なので、本州でやるにしても屋根がないと厳しいなと」

 また、公募制をとった理由の1つには、さまざまな自治体や企業から個々のグループにアプローチがあるので、それらを集約する意味でオープンな募集にしてみたら面白いのではないかという案が出たからだ。

第10回の選抜総選挙はナゴヤドームで開催 第10回の選抜総選挙はナゴヤドームで開催

 その結果、100件以上の応募が集まり、最終的にナゴヤドーム、大分・別府国際コンベンションセンター、福岡・北九州メディアドームの3会場に絞られた。これまでも水面下での候補選びはあっただろうが、こうして候補地が公に発表されたのも10年間で初めてのことである。

 さまざまな点を考慮して最終的にはナゴヤドームに決定したが、決して出来レースではなかったと細井氏は強調する。前評判でもナゴヤドームは最有力だったが、「本当にギリギリまで会場は決まりませんでした。普通に考えればナゴヤドームかもしれませんが、多くの人たちの意表を突いて『え、そこにいくの?』というのがAKB48グループらしいという意見もあったくらいです」と細井氏は振り返る。

 世界選抜についても初の試みだが、これも10周年だからということではなく、“偶然のタイミング”なのだという。

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