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» 2018年07月04日 10時00分 公開

富士通マーケティングの働き方改革:管理部門こそRPAの効果あり! 富士通マーケティングの人事および財務の課題をどう解決するか

定型業務の多い企業の管理部門にとって、RPAによる業務の自動化は大きな負荷低減につながることは間違いない。富士通マーケティングの人事部門と財務部門でもその効果を見込んで取り組みをスタートした。

[PR/ITmedia]
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 企業で行われている手作業の業務をコンピュータによって自動化し、業務効率化やコスト削減を実現するテクノロジーとして大きな期待が寄せられている「RPA(Robotics Process Automation)」。富士通マーケティングがこのRPAを導入して働き方改革を推進しようとしていることはこれまでの記事でお伝えした(関連記事123)。

 その繰り返しになるが、RPAはどんな作業でも簡単に自動化してくれるわけではない。RPAのソフトウェアロボットは人が行う“作業”は代行してくれるものの、人の“判断”までは代行してくれない。従って、人の判断が比較的介在しない「定型業務」の自動化に向いている。大量の繰り返し作業などは、最も得意とする分野だ。

 そうした作業が多く発生する業務の代表格が、経理・財務や人事などの管理部門だ。それぞれ、会社の大事な資産である「カネ」と「ヒト」を対象に、大量の定型業務が日々発生する。富士通マーケティングではこれらをRPAによって自動化し、業務効率化を図ろうとしている。

 特に同社の人事部門は、全社的に働き方改革の取り組みを推進する立場にあることからも、業務効率化に積極的に取り組んでいる。総務人事本部 人事部長 兼 ダイバーシティ推進室長の山本年洋氏は、同社における働き方改革のコンセプトについて次のように説明する。

 「当社では女性の活躍や在宅勤務といった狭義の働き方改革だけに留まらず、労働に対して多様な価値観を持つ社員同士の“知”を組み合わせることによるイノベーションの実現を目指しています。そのために、全社で“ダイバーシティ&インクルージョン”といった経営テーマを掲げて、現在新たな働き方を模索しているところです」

 また、ダイバーシティは「人それぞれの違いによる多様性」、インクルージョンは「一人一人違う個性の人々がお互いに尊重し、認め合い、生かし合う」ことで、これらの言葉を通じて、「人材および働き方の多様化が生産性向上やイノベーションを創出する」と山本氏は強調する。

 既にテレワークや柔軟なフレックス勤務などを始めており、順次、人事制度の改善も図っていく予定だという。こうした新たな取り組みを進めていくためには、当然のことながらそれなりのリソースを投入しなくてはならない。一方で、既存の業務の量が減るわけではない。特に人事部門においては、人手に頼る大量の繰り返し業務が存在し、なかなか新しい仕事に人手を割けないのが悩みだと山本氏は言う。

 「ダイバーシティやインクルージョンの取り組みに知恵や人手を割くためには、既存業務の負担を減らす必要があります。それに、人事の業務にはそもそも単純な繰り返し作業が多く、特に若い社員の中には『この仕事は果たして自分の成長につながるのだろうか?』と疑問を持つ者もいるかもしれません。かといって、こうした作業を疎かにすると、今まで人事が業務部門に提供してきた価値が損なわれてしまいます。そこで、RPAのような技術を使って、既存の定型業務を少しでも自動化できればと考えているところです」

残業アラートメールの送信作業を皮切りに

 富士通マーケティングでは現在、RPAを使った業務効率化に全社規模で取り組んでいるが、これに真っ先に手を挙げた部門のひとつが総務人事本部だった。その背景には、前述のような課題を抱えていたことに加え、部内にVBA(Visual Basic for Applications)やExcelマクロを使ったEUC(End User Computing)の専門家がいたことが大きかったという。総務人事本部 人事部担当部長の岡哲也氏は次のように述べる。

総務人事本部の山本年洋氏(左)と岡哲也氏 総務人事本部の山本年洋氏(左)と岡哲也氏

 「もともとVBAを使ったEUCに長く取り組んできた経験から、RPAのことを初めて知った際も『これは使えそうだ』と直感しました。実際、検討を進めてみると、さまざまなシーンで使えそうな手応えがつかめたので、ぜひ先行して試してみたいと考えました」

 岡氏を中心に、部内の業務の中からRPAを適用できそうなものを洗い出し、効果が表れやすそうなものから順に優先順位を付けた。現在真っ先に取り組もうとしているのが、残業時間が多い社員やその上長に警告メールを送信する作業の自動化だ。長時間労働が社会問題化する中、過度の残業を抑制するためには人事部門が主体となり、業務現場にタイムリーにアラートを発するのが効果的だ。しかしこのメールを作成するために、現状では人が各従業員の残業時間を一人ずつ調べ上げ、それをメールに記入して送っている。

 3000人以上の社員一人一人について手作業で行うには、言うまでもなく膨大な手間が掛かる。そこで同社では、RPAを使って自動的に各社員の残業時間をシステムから収集し、一定値を超えた者やその上長に対してアラートメールを送信するという一連の業務を、RPAで自動化することを検討している。既にRPAのロボットを動かすためのシナリオ設計を進めており、早ければ2か月後には本格稼働を始められる予定だ。

 こうした自動化処理を、人事システムに改修を加えることで実現する手もあるが、多額のコストや長い開発期間がかかる上、「弊社の人事システムは富士通グループの共通基盤の上に載っているため、自社の都合だけで勝手に手を加えるわけにはいかない」(岡氏)のだという。かといって、VBAなどを使ったEUCでここまでの処理を実装するのもハードルが高い。

 こうした「システム改修とEUCのはざま」にあるような自動化ニーズに、RPAはうまくマッチする。同社の人事部門では現在、メール送信業務以外にも、勤怠管理のために打刻機器からデータを収集する処理や、総務省が運営する「電子政府の総合窓口」(e-Gov)に申請する労働保険事務手続きの業務、業務現場から定期的に上がってくる時間外労働に関する報告書の取りまとめ作業などに順次RPAを適用していく予定だという。

“品質”と“大量”の両立が求められる財務部門の業務

 富士通マーケティングの管理部門の中で、人事部門とともに率先してRPAの導入に取り組んでいるのが、同社の財務部門だ。経理や財務の仕事は、人事と並んで「大量かつ繰り返し型の定型業務」が多く発生する分野だ。同社 財務経理本部 財務部 担当課長の廣戸秀敏氏は、財務関連業務におけるRPA導入の価値について次のように述べる。

 「私は売掛管理の請求業務を担当しているのですが、毎月約2万2000枚の請求書を発行したり、およそ8000社の請求管理したりするために、日々大量の定型業務に追われています。特に業務が集中する月末月初は、大量の作業を限られた人数でこなさなくてはならず、メンバーにも大きな負担が掛かっています。こうした作業から人手を開放しないと働き方改革は実現しませんし、お客さまや営業部門への対応といった非定型業務もどうしても手薄になってしまいます」

財務経理本部 財務部 担当課長の廣戸秀敏氏 財務経理本部 財務部 担当課長の廣戸秀敏氏

 財務部門が扱う“カネ”は会社の重要な資産であるとともに、その取り扱いを誤ると対外的な信用を失いかねないというリスクもあるため、その対応には細心の注意を払う必要がある。請求書ひとつ取ってみても、もしその内容が間違っていたり、二重請求が発生してしまったら、最悪の場合は裁判沙汰にまで発展することも考えられる。

 このように、業務品質に細心の注意を払う必要がある一方で、同社の財務部門はわずか5人のメンバーで毎月2万2000枚もの請求書を処理しなくてはならない。当然、すべての作業を人手で行うのは無理なので、システムを導入して自動化を図っているものの、それでもなお多くの手作業が残っている。

 例えば、請求書を出力する作業。同社が顧客に送付する請求書の多くは、同社が定めた標準フォーマットに沿っているが、中には顧客独自のフォーマットや、取引形態に固有の様式が要求されることがある。そうした場合、システム請求書を出力する際に、特別な条件をいちいち設定する必要がある。もしこの条件の入力を誤ると、間違った内容の請求書が出力されてしまうため、作業の慎重さには万全を期す必要がある。

 そのために同社の保守サービスの請求書出力では、入力担当とその内容を横で見ているチェック担当の2人が必ずペアを組んで作業を行うようにしている。月末、年度末のような請求書の出力作業が集中する繁忙期には、朝から深夜までこの作業を2人が張り付きで行うこともあり、大きな負担になっているという。

大掛かりなシステム改修では間に合わない

 こうした大量の定型作業は本来、システムを改修したり、周辺システムと連携させたりすることで自動化するのが理想的だが、廣戸氏によれば「現実的にはそれも難しい」という。

 「近年のクラウドビジネスの成長などに伴い、当社でも新たなビジネスモデルや取引形態が増えてきました。それに従い、請求書の形態もどんどん多様化しつつあります。そうしたビジネスのスピード感に追随するには、新たな請求書の形態に対応するためにいちいち長い時間をかけて基幹システムを改修していてはとても間に合いませんし、費用対効果の面でも問題があります」

 そこで白羽の矢が立てたられたのがRPAだった。請求書出力の際に、現在は人手で行っている「多様化する請求書形態(顧客独自のフォーマットや取引固有の発送)に対応するために14パターンの請求書出力を行う」という一連の作業をロボットで自動実行できるようにする。これにより、これまでこの作業に拘束されていた2人分の人員が一気に解放されると同時に、人が二重チェックしてもなお発生する恐れのある入力ミスも防ぐことができる。

 このように、財務部門で一般的にしばしば発生する「大量なのにミスが許されない」という作業の自動化に、RPAは極めて適している。同社の財務部門では、まずはこの請求書発行作業にRPAを導入し、その効果のほどを検証する予定だ。さらにその後は、得られたノウハウを横展開して他の業務にもRPAを適用していくという。

 「現在は、枚数が多い保守サービスの請求書の発行業務でRPA導入を進めていますが、3か月後には他の請求書の発行業務にも同じくRPAを導入したいです。さらには、請求業務だけでなく、消込業務・債権管理業務・資金管理業務にも適用拡大させていきたいと考えています。現在はRPAに詳しいパートナー企業の支援を受けながら導入を進めていますが、将来的にRPAの用途を広げていくためには、財務部門のメンバーが自ら内製できるようになる必要があるでしょう」(廣戸氏)


 以上、数回にわたって見てきたように、さまざまな部門でRPAの導入を進め、少しずつ実を結びつつある富士通マーケティング。この成果は同社の働き方改革にとどまらず、自らの実践によって蓄積した知見やノウハウを顧客向けのソリューションやサービスにも生かして、実務の現場から生産性アップを下支えしていくのだ。

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提供:株式会社富士通マーケティング
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2018年8月3日