帝国データバンクがこのほど発表したアニメ制作企業の経営実態の調査結果によると、2017年(1月〜12月期決算)の収入高合計は2037億2100万円(前年比+8.2%増)と、初めて2000億円を突破し、過去最高だった。業績に回復の兆しが見えてきた一方で、制作の態様別で格差が生じている実態が浮き彫りとなった。
1社当たりの平均収入高は8億800万円(同6.0%増)とピーク(07年、11億7500万円)の約7割まで回復。DVDの販売不振や製作費が安価な中国や韓国、東南アジア企業の日本市場進出、競合企業の増加により受注競争が激化したことなどから落ち込みが続いていたが、大手を中心とした業績回復が寄与した。
増収だった企業は39.6%と、3年ぶりに前年(37.3%)を上回った。増益だった企業も54.9%と、3年ぶりに半数を超えた。採算性の高いライセンス収入の増加などが寄与したようだ。
一方で、下請けとなる専門スタジオでは平均収入高が低水準で推移。制作態様によって格差が生じている。
受注単価の低迷やヒット作に恵まれない、アニメーターなどの人員不足による受注抑制などといった要因から減収だった企業は23.7%、減益だった企業は36.9%だった。
また、17年の倒産・休廃業・解散件数は、倒産が4件、休廃業・解散が2件、計6件と、2000年以降で3番目に多かった。受注低迷や請負単価の低下、資金繰り悪化、人材不足などが主な要因だったという。
18年に入ってからは3社が倒産したほか、「いなり、こんこん、恋いろは。」などを手掛けたプロダクションアイムズ(東京都練馬区)が債務整理を行う事態となっている。
調査は2018年7月時点の255社を対象としたデータの集計・分析を基に実施した。
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