米小売大手Walmart、野菜などの管理にブロックチェーン導入へ 大腸菌対策で供給経路をすぐに把握

» 2018年09月25日 17時46分 公開
[中澤彩奈ITmedia]

 米小売大手Walmartは9月24日、レタスなどの野菜を供給する業者に対し、「野菜の取引情報をブロックチェーンで管理する取り組みに協力してほしい」と書面で呼び掛けたことを明らかにした。紙ベースでの管理に要する手間の削減と、食品の安全性向上が狙いで、Walmartと米IBMが構築予定のシステムを業者に開放する予定。

 システムの実装時期は2019年9月を予定する。同社傘下のSam's Clubに供給する野菜もブロックチェーンで管理することを求めている。

photo 米Walmartが野菜供給業者に送った手紙(=米Walmartの公式Webサイトより)

 Walmartによると、ブロックチェーン上で商品を管理することで、供給経路をすぐに把握可能になるほか、供給体制の柔軟な変更を実現できるという。

 例えば、野菜から食中毒の原因となる菌が検出された場合などに、感染した供給業者を特定し、供給をストップする作業を数分で実行できるため、従来は数日かかっていた業務を大幅に短縮できるとしている。

photo 米Walmart食品安全の責任者フランク・イアナス氏(=米Walmartの公式Webサイトより)

 食品安全の責任者を務めるフランク・イアナス氏は「紙ベースでの管理では、野菜が生産された場所を確認するだけに7日を要する。供給業者に連絡を取り、記録用紙を取り寄せ、その情報を頼りに農家に連絡を取るというプロセスが必要だった」と現状を説明する。

 今年に入り米国では、ロメインレタスが原因とみられる大腸菌感染が拡大。米CNBCによると200人以上が感染して、多くの業者が大量のレタスを廃棄する事態に追い込まれた。さらに、卵やシリアルからサルモネラ菌が見つかるなど、米国人の食に対する不信感が高まっている。

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