モンテローザ、焼酎割りのニュー飲料で狙う“ハイボールの次の座”停滞する居酒屋のお酒に新ヒットを(1/3 ページ)

» 2018年10月09日 07時00分 公開
[服部良祐ITmedia]

 モンテローザは展開する居酒屋チェーンで焼酎割りの新飲料ブランドを提案する。酒蔵と独自に開発した焼酎を炭酸で割ってシトラス風味に仕立てた。まず飲み放題メニューに加え、ゆくゆくは単品の定番商品として売り出す方針。

 ただ、焼酎を炭酸やお茶で割った飲み物は「焼酎ハイボール」「チューハイ」などと呼ばれ既に他の居酒屋のメニューや小売りでも販売されている。モンテローザは今回の新ブランドに、一見焼酎と関係のない「スパイダー」という片仮名の名前を付けて差別化を図り若年層に売り込む。

photo モンテローザが提案する焼酎割りブランド「スパイダー」(同社提供、メニューのイメージ)

 原酒不足から一部商品が販売休止になるなどブームが続いたウイスキーに比べ、焼酎は特に若者から支持が得られず消費が低迷してきた。一方で居酒屋業界もまたハイボール以降、新たなヒット飲料が生まれず苦戦している。今回の新商品開発の背景にも、どちらかというと「おじさんっぽい」焼酎のイメージを刷新してハイボールの次のヒットの座を狙いたい思惑があるようだ。

「他の居酒屋でも出してもらえるブランドに」

 モンテローザが新たに打ち出すメニュー「スパイダー」は、焼酎の炭酸割りにレモンとミントを加えシトラス風味にしたもの。色の透明な基本商品に加え、柚子はちみつのシロップを加えた「イエロー」、ラムネシロップ入りの「ブルー」など甘くカラフルなサワー風に仕立てたメニューもそろえた。焼酎の和風のイメージと懸け離れたカラフルな見た目を狙った。

 まずは10月中旬をめどにモンテローザ系の魚民、笑笑、山内農場の計約700店舗で飲み放題メニューに投入する。顧客の反応を見つつ、12月ごろには1杯300円台後半の価格で主要チェーンの単品メニューとしても売り出す方針だ。

 使用するお酒は宗政酒造(佐賀県有田町)の麦焼酎「黙雷」。約2年前からモンテローザと焼酎の卸・販売を手掛けるルネサンス・プロジェクト(福岡市)が宗政酒造とタッグを組み、新飲料に合う業務用商品を開発した。

 変わった見た目や味が売りの「〇〇ハイ」と名付けられたメニューは多くの居酒屋が売り出している。しかし、ルネサンス・プロジェクトとモンテローザはスパイダーについて商標登録を既に申請した上で、「メニュー展開を自社の店に限定せず、ゆくゆくは他の居酒屋でも出してもらえる人気ブランドにしたい」(同社の担当者)と意気込む。自社チェーンにとどまらずハイボールのような長期的ブームを狙うという。

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