トヨタ、北米の収益改善急ぐ SUVなど新車投入で販売費抑制へ3年で31車種計画

» 2018年11月06日 19時00分 公開
[ITmedia]

 トヨタ自動車のジム・レンツ専務役員は11月6日、2018年4〜9月期の決算会見で、収益改善が課題となっている北米事業について、「2019〜21年の3年間で、モデルチェンジを含む31車種の新型車を投入する」と語った。業務の効率化などにより、急速に収益改善が進んでいると強調。新車投入で販売奨励金(インセンティブ)の抑制を図る。

photo 米国で発売が迫る、新型「RAV4」

 18年4〜9月期の北米の連結販売台数は、前年同期比1.1%増の141万1000台。「タコマ」「ハイランダー」など、ピックアップトラックやスポーツタイプ多目的車(SUV)の販売が好調だった。

 一方、北米事業の営業利益は2.8%減の1372億円。原価改善は進んでいるが、為替が前年同期より1円円高だった影響や原材料価格の上昇、インセンティブの負担により減益となった。インセンティブについては、「重点モデルへの効率的な投入で適切にコントロールしている」(白柳正義専務役員)が、収益改善は道半ばだ。

 レンツ専務役員は北米市場について、「全体として消費者マインドはとてもいい」と話した。一方で、貿易の状況や排出ガス規制、金利上昇などの課題を指摘した。

新車投入でインセンティブ抑制へ

 19年以降の新車投入については、18年までの3年間に投入した24車種を大きく上回ることを強調。「若い世代の新しいお客さまを引き付けたい。それでインセンティブも減っていくだろう」と語った。さらに、オンラインを活用した顧客サービスの拡充や販売店の在庫最適化に取り組む方針も示した。

 SUVなどのライトトラック市場が拡大していることから、ニーズに合った製品をそろえていく。しかし一方で、主力モデルの「カムリ」や「カローラ」などについて、「乗用車を見捨てることはない。乗用車にも、北米で伸びる部分はある」と指摘した。

 また、レンツ専務役員はハイブリッド車(HV)など次世代環境車の比率を向上させることに触れ、「米国での現地生産が必要になる。そのためには(北米の)コスト競争力を実証しなければならない」と話した。小林耕士副社長は「HV部品も順次、現地生産を考えている」と言及した。

 北米事業の営業利益率を21年までに8%に引き上げることを目指す。ただ、18年3月期の北米の営業利益率は1.3%と、大きく開きがある。レンツ専務役員は「8%という数字は、他社とも比較した上で妥当ではないかと思っている」と話し、収益改善への意気込みを示した。

photo 決算会見には小林耕士副社長(左から2人目)らが出席した

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