5年間ヒトヤスミしていたのに、なぜ「一休」は再成長したのか水曜インタビュー劇場(45%増公演)(1/6 ページ)

» 2018年11月21日 06時50分 公開
[土肥義則ITmedia]

 10年ほど前の話になる。宿泊施設の予約サイトを運営する「一休」が、メディアによく登場していた。テレビCMを放映したり、社員が情報番組に出演したり、社名がプリントされたTシャツを着て、バラエティ番組で輪投げをしたり。

 しかし、である。その後、メディアにパッタリ出なくなったのである。何が起きていたのか。

 一休は2005年にマザーズに上場して、2年後の07年に東証一部に上場。破竹の勢いで業績を伸ばしていたのにもかかわらず、07〜11年にかけて取扱高が伸び悩んでいたのである。「なぜ売り上げが伸びないのか」「会社の戦略が悪いのか」などと疑問を感じるようになり、一人でも多くの人に自分たちのことを知ってもらうために、“メディアに出まくり作戦”を実行していたのだ。

 だが、その作戦は失敗に終わる。CMを流しても、Tシャツを着ても、輪投げをしても、業績は上向かなかったのである。宿泊施設を予約するサイトは、競合がひしめきあっていて群雄割拠の状態である。JTBや近畿日本ツーリストといった老舗だけでなく、楽天トラベルやじゃらんなどもある。

宿泊施設予約サイトを運営する「一休」の取扱高が伸びている(画像提供:Getty Images)

 「あー、それはキツイね。一休も大変だ」と思われたかもしれないが、5年ほどヒトヤスミして、12年以降はぐんぐん伸びているのだ。中でも16〜17年にかけての取扱高を見ると、45%も伸びている。

 一休のサイトを見ると、高級ホテルや老舗旅館などがズラリと並んでいるが、なぜ再成長することができたのか。その秘密を探るために、同社の榊淳社長に話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

       1|2|3|4|5|6 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.