企業経営の柱 財務を読み解く
特集
» 2018年12月07日 07時30分 公開

10年間で1.5倍に:低迷していた「カルピス」が、右肩上がりの再成長を遂げた理由 (1/4)

2019年に100周年を迎える「カルピス」がいま、再び成長している。販売量は横ばいで推移していたのに、10年ほど前から右肩上がりに伸びているのだ。変わらない味のロングセラーブランドが再成長できたのはなぜだろうか。

[加納由希絵,ITmedia]

あの企業はなぜこの数字にこだわるのか:

 出店数、品ぞろえの数、値付けなど「会社の数字」から企業の本当の狙いをあぶり出す。「あの企業はどうしてこんな戦略をとったのか」ということを、数字の裏付けも踏まえながら分かりやすく紹介する。

連載第1回:営業利益率を犠牲にしてまで鳥貴族が店内串打ちにこだわる理由

連載第2回:松屋と吉野家でこれだけ違う 「もうかる立地」の方程式とは?

連載第3回:回転すしの廃棄率は? くら寿司が「3%」に抑えられるワケ

連載第4回:どん底から復活したメガネスーパーは、なぜ「安売り」と決別できたのか

連載第5回:低迷していた「カルピス」が、右肩上がりの再成長を遂げた理由


 「カルピス」といえば、子どものころに好きだった甘酸っぱい味を思い出す。そんな人も多いだろう。多くの日本人が慣れ親しんでいるカルピスは、2019年に誕生から100年を迎える。変わらない味のロングセラーブランドだ。

 そのカルピスがいま、再び成長している。1990年代初頭に「カルピスウォーター」が大ヒットした後は伸び悩んでいたのに、ここ10年ほどは右肩上がりの伸びを見せているのだ。2018年も前年比5%増の販売目標を達成する見通しだ。

 誰もが知っていると言ってもいい、変わらない味を守りながら、再成長できたのはなぜなのか。そこにはロングセラーブランドならではの戦略があった。

photo 「カルピス」が再成長できたのはなぜか

ここ10年は右肩上がり、1.5倍に

 次のグラフは、カルピスブランド製品の出荷容量の推移だ。

 ここで示されている数字は「ストレート換算」。希釈して飲むタイプ(原液)の製品については、標準的な割合で薄めた後の容量を想定し、それを合計して計算している。つまり、実際に消費される量を推計して示したものだ。

photo 「カルピス」製品の出荷容量の推移(ストレート換算)。単位はキロリットル(編集部作成)

 24年間の推移を見ると、1990年代中盤以降は40万キロリットル前後で横ばいが続いていた。ところが、2008年ごろからはほぼ毎年出荷量を伸ばし、17年には61万キロリットルを超えた。10年ほどで約1.5倍に増えている。

 その間、カルピス社の資本関係も変わっている。12年にアサヒグループホールディングスの傘下に入り、16年には同グループのアサヒ飲料と完全統合している。

 アサヒ飲料によると、カルピスの近代史には2度の低迷期があったという。2000年前後の時期はその2回目に当たるようだ。まずは低迷期の要因を振り返りながら、再成長の理由を解説する。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

職種特集

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -

Digital Business Days

- PR -