森永乳業が、砕いた氷入りでシャリシャリした食感の「かき氷系」アイスを冬に売り込んでいる。2018年6月に発売した「蜜と雪」シリーズについて、スーパーを中心に販売する。同社では従来、冬にかき氷系のアイスを小売りに卸すことは基本的になかったが、今冬からは冬に食べるかき氷風のアイス、「冬氷」としてアピールする。
日本アイスクリーム協会によると、17年度のアイス市場の販売額は5114億円と初めて5000億円を突破した。冬アイスブームなどの影響で、アイスが通年で食べるデザートとして認知されてきたことが大きい。
ただ、冬アイスとして主に人気なのはバニラやチョコレートといった濃厚な味のアイスクリーム。ハーゲンダッツや、森永乳業ならPARM(パルム)といった商品が主力だ。同社が「氷菓タイプ」と称するシャリシャリしたかき氷系商品はあくまで夏向けで、冬は売れないとされてきた。なぜ森永乳業は「冬氷」を推すのか。
森永乳業が16年にWeb上で約1000人に冬アイスについてアンケートを取ったところ、98%が「冬でもアイスを食べたい」と回答。この時点で冬アイスはある程度浸透していたことになる。一方、夏と冬でそれぞれ好むアイスの特徴を聞いたところ、夏は「食感がシャリシャリ」「味がさっぱり」に、冬は逆に「食感がなめらか」「味が濃厚」が上位に挙がった。
このように、冬アイスで好まれるのはあくまで濃厚系で、「シャリシャリ食感」「さっぱり味」が売りの氷菓系は冬に売れないというのが業界の通説だった。「ただ、うちは既にパルムやMOW(モウ)など濃厚系のアイスが充実している。あえて氷菓タイプに挑戦することで冬アイス市場を開拓したかった」と、蜜と雪のマーケティングを担当する尾田京子さんは話す。
尾田さんによると、これまで多くのメーカーは冬になるとかき氷系のアイスを休売してきた。「これらの商品は主に夏にのどの渇きを抑えたり、冷たさを感じる目的で買われてきた。歯にしみやすく冷たさが口内に直接伝わるため、冬は特に避けられていたのでは」とみる。
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