ハイウェイでは2.5リッターのパワー炸裂かと思いきやそうでもない。基本的に穏やかなユニットだ。筆者はそう飛ばす方ではないので、速度制御力に優れたところを評価したい。少なくともエンジンに驚嘆するクルマではない。そこは2.0マイルドハイブリッドも同様で、国内では用意されるであろうディーゼルとSKYACTIV-Xの二大看板がどう評価を上げてくれるかが見どころになるだろう。
ワインディングではまさにミズスマシのようだ。思ったようにラインをトレースして気持ちよく走る。クルマの重さがよく分かる。それは軽すぎず重すぎず、実態をそのまま感じ取れるという意味だ。
また、ターンインでブレーキを使う時の制御感は抜群だ。思った通りの荷重移動ができる。踏む側だけでなく抜く側でもリニアなのは素晴らしい。Mazda3のいろいろな美点の中でもこれは特筆に値するだろう。
これはワインディングだけの話ではないが、クルマ全体の調和感が良い。思うがままというのはまさにこの感じ。
ついでに言えば、このあたりの路面は日本とほぼ同等なので目安にしやすいが、ペースをそこそこ上げても、そういう路面での乗り心地は素晴らしい。いわゆる「熱い走り」を期待すると違うかもしれないが、じんわりと楽しい。助手席の人を置き去りにしない優しいスポーティさを持っている。
ちなみに、試乗コースとなったエンジェルクレストハイウェイは、コースアウトしたら断崖絶壁。まあそもそも公道なので、レースのような走り方はしていない。その速度では限界など遥か向こうで、どこまでの能力があるのかは分からない。
限界時の挙動がどうなのかはぜひ一度クローズドコースで試してみたい。相当に高いことが予想されるが、それが分かりやすいものであってくれたら、さらに高得点を入れられる。
結論として、Mazda3は、これまでの日本車の水準を塗り替えるレベルにあると思う。クルマ単体の評価は二重丸をあげられる。価格は発表されていないが、旧モデルを見る限りガソリンの1.5で183万円から269万円。ディーゼルが279万円から331万円。興味深いのは多くの期待が集まるSKYACTIV-Xモデルの登場時期と価格だが、一応ディーゼルよりは安いと言われているので、安く抑えて乗り出し300万円前後と筆者は期待している。本当にそうなったらちょっとした事件である。
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。
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