PS5が欲しくても買えない状態になっているのは、主要部品の生産歩留りが上がらないことが理由としてささやかれている。ソニーは年内に1500万台のPS5を生産できる見込みだったが、現時点では1100万台“しか”生産できないと報じられた。400万台の下方修正は大きい(その後、ソニーが生産台数は変更しないと否定している)。
もっとも1100万台を“しか”と表現してしまうところに、ゲームハードウェアへのニーズの強さが現れている。ソニーの株価は一時的に急落したが、プレイステーション事業の底堅さは関連するネットワークサービスを通じたリカーリングビジネスも含め、中長期的にはソニーの株価を上昇させていくだろう。
【編集履歴:2020年10月5日13時30分更新 ※ソニーが「PS5の生産台数を下方修正した」という報道に対し、「生産台数を変更しない」と否定していたことを加筆しました。これに伴い、一部の表現を改めました】
しかし、こうした新型ゲーム機の熱狂やエヌビディアが発表する最新のゲーミング用GPUに関しての話題とクラウドゲーミングは、全くといっていいほど世界が異なる。
Stadiaが登場した当初、Stadia専用ゲームへの投資などが話題になり、積極的な開発コミュニティーに対するアプローチなどからも、その自信を感じ取ったものだ。しかし現在はもちろん、将来にわたってもクラウドゲーミングはゲーム専用機やゲーミングPCを脅かす存在にはならない。一方でゲーミングPC、ゲーム専用機、ポータブルゲーム機、全てのジャンルで市場を育てる役割は担うだろう。
ゲームコンソール、ゲーム専用機などさまざまな言い方があるが、家庭用ゲーム機は米アタリが発明し、セガが可能性を開拓し、任天堂がビジネスモデルとして確立したジャンルだ。
任天堂が現在も独自の世界観を保てているのは、プラットフォーム全体を“遊びを生み出すための仕掛け”として捉え、ハードだけでも、ソフトだけでも、サービスだけでもない、トータルとしての価値を生み出しているからだ。
大人気のNintendo Switchと他のゲーム機で、その評価軸が異なっているのは、そもそもの考え方が違うからだということは、あらためて言及する必要はないだろう。
とはいえ、これは今に始まったことではない。任天堂が生み出す遊びの世界は、決してソフトウェアだけでは得られないものだ。ゆえにゲームのストリーミングとは切り離して考えて考えるべきだろう。最初から競合もしていない。
今に始まったことではないのは、プレステの世界も同じだ。
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