新型コロナウイルスの影響により、「リーマン級以上」とも言われる不況の到来が危惧されている。特に国内中小企業の大半を占める飲食業や観光業への被害は甚大で、政府はさまざまな給付金施策を検討・実行している現状だ。
一方で、コロナ禍だからこそ好調な分野もある。ゲーム業界だ。例えば、ニンテンドースイッチ(スイッチ)で3月20日に任天堂から発売された「あつまれ どうぶつの森」は、発売6週間で全世界1300万本を超える販売数となり、同ハードで一番売り上げたタイトルとなった。
一方のソニー・プレイステーション4(PS4)で、4月10日にスクウェア・エニックスから発売された「ファイナルファンタジーVII リメイク」も、発売後3日で、世界で350万本以上売り上げるヒットとなっている。
スイッチとPS4。現在のコンシューマーゲーム機を二分する、任天堂とソニーの最新の決算状況はどうなのだろうか。
まず、PS4擁するソニーの状況を見てみよう。実は、PS4を製造・販売をする子会社のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)単体の決算は発表していない。ソニーグループ全体の連結決算という形で数字を公表していて、SIEの部分は、「ゲーム&ネットワークサービス部門」として公開されている。
このゲーム部門だけの2020年3月期の連結決算によると、売上高は前年同期比14.4%減の約1兆9776億円、営業利益は23.3%減の約2384億円だった。売上高、営業利益共に、前年度を下回る結果となった。
低迷の原因として考えられるのが、PS4の発売から7年目となり、新しくゲーム機を買う層があまり望めなくなってきている点だ。さらに、次世代後継機となる「PS5」を2020年末に発売することを19年10月に発表していて、これによるPS4の買い控えも起きているものと考えられる。
この動きは、PS4の出荷数にも現れている。2019年1〜3月の販売台数は約260万台だった一方、20年1〜3月は約150万台。実に110万台もの落ち込みで、四半期で最も少ない販売台数となった。こういった状況もあるため、“PS4最終年度”となる19年度の決算が低迷したのも、無理もない状況と考えられる。
一方で、7年ぶりの新機種となるPS5に向けた期待は高く、特に昨今では、その値段がいくらになるのかという点が注目されている。PS4の価格が発表された7年前の13年、さらに7年前の06年に発売されたPS3の定価が約5万円にものぼったことから、4の値段はそれを上回るのではないかという噂が当時飛び交った。
結果的にPS4は、PS2などと同じ約4万円の定価で販売されたが、PS5においても7年前と同じ噂が飛び交っている。価格も、従来通り約4万円とするものから、部品高から約8万円とするものまでさまざまだ。今まさに7年前と同じ現象を繰り返しているあたり、PS5に対する期待は変わらず高いままと言えるだろう。
参考までに、PS4が発売された13年度決算をみると、売上高は前年度比38.5%増の9792億円となっている。PS5が発売される20年度決算も、似たような動きになるかもしれない。
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