一方、任天堂の決算状況はどうだろうか。任天堂の20年3月期の通期連結決算によると、売上高は前年度比9.0%増の約1兆3085億円。営業利益は41.1%増の約3523億円で、3期連続の増収増益となった。前年度比で減収となったソニーとは、対照的な結果と言える。
任天堂の20年3月期の通期連結決算によると、売上高は前年度比9.0%増の約1兆3085億円。営業利益は41.1%増の約3523億円で、3期連続の増収増益となった(任天堂の「2020年3月期 決算説明資料」より)本業の儲けを示す営業利益額では、任天堂がソニーを上回った結果だ。
好調の要因は、ハードの売れ行きにある。19年8月下旬には、それまで展開していた「ニンテンドースイッチ」のバッテリーの持ちを良くした新モデルを発売。さらに9月には、廉価モデルである「ニンテンドースイッチライト」が登場した。ハードの年間販売台数も、18年度の1695万台を400万台以上も上回る、2103万台を記録した。
任天堂ではゲーム機の売り上げだけでなく、「あつまれ どうぶつの森」をはじめとしたソフトでもヒットを飛ばしており、20年度の決算も堅調な結果になることが期待される。
だが、専門家によると“天国”のあとには“地獄”が待っているのがゲーム業界の常だという。サブカル専門ライターの河村鳴紘氏はこう解説する。
「ゲーム業界はヒットの波があり、好調な決算でも決して油断できないのが特徴です。例えばスイッチを発売した年の17年3月期の任天堂の決算をみると、売上高は前年同期比3.0%減の4890億円、営業利益は同10.7%減の293億円でした。今の業績と比べると、売上高は3分の1程度、営業利益は1割以下で、天と地の差があります」
そしてゲーム機のビジネスモデルは、ピークの数年後には確実に下降期があり、3年後のことは誰にも分からないのが特徴だという。
「“天国”の任天堂に対し、ソニーは今まさに“地獄“というわけですが、『PS5』の発売前でもあります。とはいえ、PS5が必ずしもヒットするとも限りません。来年度以降どうなるかは神のみぞ知る……というわけです」(河村氏)
ソニーのプレイステーションの歴史を見ても、初代PSと2は大ヒットしたものの、PS3で低迷した時代があった。3の反省を生かし、4では再び返り咲くことができた一方、次世代の5がどうなるかは分からない。ゲーム機そのものがソフトのヒット作に恵まれるかどうかという問題もあれば、スマートフォンやPCという競合にどれほどのユーザーが流れるかという外的要因も常にある。
1年先は闇……それが、ゲーム業界の恐ろしさだと言えるだろう。
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