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» 2019年11月28日 04時00分 公開

高橋名人の仕事哲学【前編】:“元祖プロゲーマー”高橋名人が明かす「日本のeスポーツの課題と戦略」 (1/5)

かつて「名人」と呼ばれた男がいたことを覚えているだろうか――。ハドソンの広報・宣伝マンを務め、「16連射」で名高い高橋名人だ。名人は近年、「一般社団法人e-sports促進機構」の代表理事を歴任するなど、国内のeスポーツ振興にも尽力している。日本のeスポーツはどうなっているのか。現状の問題は何なのか。高橋名人を直撃した。

[河嶌太郎,ITmedia]

 かつて、テレビゲームは子どものおもちゃとして遊ばれてきた。ファミコンの発売から36年。近年ではゲームをスポーツ競技として捉える動きが盛んになってきている。それは「eスポーツ」だ――。アジアや欧米では、プロスポーツ選手のようにeスポーツで生計を立てる「プロゲーマー」が一般的な職業として広く認知されていることは、梅原大吾選手へのインタビューでもお伝えした通りだ(プロゲーマー「ウメハラ」の葛藤――eスポーツに内在する“難題”とは)。

 2022年に中国・杭州で開催予定のアジア版オリンピックとも呼ばれる「アジア競技大会」では、正式なメダル種目になることが決定していて、オリンピックへの種目化も議論が進められている。国内も例に漏れず、「プロゲーマー」が新しい職業として注目を集めてきた。

 そこで今回はeスポーツ界の最重要人物を直撃した。かつて「名人」と呼ばれた男がいたことを覚えているだろうか――。ハドソンの広報・宣伝マンを務め、「16連射」で名高い高橋名人だ。名人は近年、「一般社団法人e-sports促進機構」の代表理事を歴任するなど、国内のeスポーツ振興にも尽力している。日本のeスポーツはどうなっているのか。現状の問題は何なのか。eスポーツの今後の戦略は――。名人本人がITmediaビジネスオンラインの取材に応じた。前・中・後編でお届けする。

phot たかはし・めいじん 1959年、北海道生まれ。1982年にハドソン入社。ゲームの営業から開発まで様々な業務に携わるなか、1985年に「第1回全国ファミコンキャラバン大会」のイベントにて「名人」の称号を確立。以降、当時のファミコンブームを追い風に「ファミコン名人」としてTV・ラジオ・映画に出演。一世を風靡し、子どもたちのヒーローとして大人気を博した。高橋名人をキャラクターに使用したゲームに「高橋名人の冒険島」シリーズがある他、関連書籍、レコード、CDなども多数。特技にゲーム機のコントローラのボタンを1秒間に16回押す「16連射」がある。著書に『高橋名人のゲーム35年史 』(ポプラ新書)など (撮影:山本宏樹)

英語の「sport」は本来「娯楽全般」を指す

――名人は日本のeスポーツの現状をどのように見ていますか。

 ここ3、4年でだいぶ広がってきたのではないでしょうか。いい環境になってきたと思いますね。例えば近年では部活動に「eスポーツ部」というものが登場してきて、学校の部活面での浸透も目を見張るものがあります。これは昔だったらありえなかったことです。プログラミングによってゲームなどを開発するパソコン部というのは昔からありましたが、ひたすらゲームをする部活というのは、「ただ遊んでいるだけ」としか捉えられず、(こういう状況になることは)まず考えられませんでした。

――何が変わってきたのでしょうか。

 スポーツに対する見方がここ1、2年で少しずつ変わってきている、というのが大きいと思います。スポーツという言葉を日本人が聞くと、汗をかく、身体を動かすというのがスポーツだという見方が非常に強いです。でも本来、英語のsportという言葉は、身体を動かすことだけでなく、楽しむもの、娯楽全般を指す意味もあります。ですから、海外ではチェスなど頭脳を使ったものもスポーツとする見方が伝統的にあるんですよね。

 この考え方が、学校教育の現場や、若い世代などを中心に日本にも少しずつ浸透してきているのだと思います。「eスポーツ部」という正々堂々とゲームを練習できる部活ができるようになったことはとても良いことですね。ゲームメーカーにいた人間としても非常にうれしく思います。

 とはいえ、この言葉のズレの問題はまだまだ根強いです。私の年代の50代以上を中心に、汗もかかないで手先でちょこちょこやっているのが「スポーツ」だと言っていいの、と違和感を持つ方も多いと思います。この言葉のわだかまりの部分から何とかしていかなければと思います。

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