リテール大革命

キャッシュレス決済が顧客体験向上を生み出す──CRISP宮野代表に聞くサラダ専門店(5/11 ページ)

» 2021年09月24日 07時00分 公開

外食産業においてテクノロジーは“本業”

 さらなる顧客体験向上を実現するため、18年10月に広尾店をリニューアルし、完全キャッシュレス化を行った。

 「当時セルフレジやアプリなどを作って多くのメディアに取り上げていただいたのですが、その後からほかの飲食店や飲食系の大手企業などからシステムについての問い合わせが増えたのです。いろいろと話を聞いていると、僕ら以外にも課題感を持って何とかしたいと思っている企業が多いことが分かりました。また、当時のモバイルオーダーは飲食店側の気持ちで作られているものがあまりないように思えたのです」(宮野氏)

完全キャッシュレス化の第1号店となったCRISP SALAD WORKS広尾店(当時の写真)

 当時すでに販売されていたアプリから注文できるモバイルオーダーシステムが、人件費削減の意図で提案されていたことに違和感を持ったと宮野氏は語る。そこで自社でシステムを企画し、システムインテグレーターに業務委託する形でシステムを開発。その後、自社開発する形でリニューアルを行ったという。

 飲食業者が自社でシステムを開発した経緯について宮野氏は「本業を外部委託する人はいませんよね。我々の本業がテクノロジーだということです」と語る。

 「一般的な飲食業では料理と接客が本業ですが、我々はそれと同じくらいデザイン、ロボティクス、ロジスティクス、ヘルス、テクノロジーの5つが外食の本業だと考えています。ですからこれらは外注せず、自分たちで資金を投下して育てようと考えています」(宮野氏)

 本業を幅広く捉える狙いは「非連続な成長」、つまり爆発的な成長を実現するためだという。

 「外食業では、お店が小さい方が利益率が高く、大きくなると下がるのですが、そこに違和感がありました。会社の規模が大きくなればなるほど利益率が高くなるモデルを作るためには、商品力、業態力、接客力の3つだけを一生懸命頑張ってもできません。

 しかし、これら5つの要素も組み合わせて僕らのコアを囲うことで達成できると考えています。つまり物流や生産管理、我々はサラダなのでヘルス、そしてデザイン、ロボティクスが本業だと捉えているのです」(宮野氏)

商品力、業態力、接客力をコアにしながら、デザイン、ロボティクス、ロジスティクス、ヘルス、テクノロジーの5つの要素によって成長するというのがCRISPの戦略

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