リテール大革命

キャッシュレス決済が顧客体験向上を生み出す──CRISP宮野代表に聞くサラダ専門店(10/11 ページ)

» 2021年09月24日 07時00分 公開

 現在のCRISPアプリユーザーのARPU(1人当たりの月間利用金額)は3000円弱。CRISPが「アンバサダー」と呼んでいる、累計で100回以上の利用があるユーザーは平均1万円程度で、約3倍ほどだという。

 「サラダが自動的に届く仕組みがあったら、ARPUを10倍に伸ばせるのかが、僕らの検証の一番大きな目的でした」と宮野氏は語る。

 「我々にとって理想のお客様というのは、すでにCRISPアプリで過去に50回以上注文し、かつCRISP REPLENISHも使ってくれた方ですね。このお客様のCRISP REPLENISH利用状況は、ほぼ毎週続けるか1週くらいスキップしてまた戻ってくるという感じで、ARPUの平均は現在2万6000円くらいです。つまり、コアなお客様でも1万円程度だったARPUが、サブスクリプションの導入で一気に3倍になったわけです。CRISP REPLENISHは今後、世田谷エリアでも展開する予定です」(宮野氏)

 また、CRISP REPLENISHで初めてCRISP SALAD WORKSを利用したというユーザーの離脱率が意外に低かったと宮野氏は語る。

 「サブスクリプションの開始には、既存のアプリのお客様のARPUを上げるという目的もありました。しかし実際には、食材やミールキット、冷凍のお弁当の配達などを利用していた人が、健康的な食品定期配送サービスの選択肢の1つとして我々を選んでいる可能性が高いのではないかと考えています。

 そんなことが兆しとして見えているので、CRISP REPLENISHのサービスサイトや機能などを強化して、年内ぐらいにはもう一段階ギアを上げてお客様にしっかり宣伝し、ユーザーを増やしていく予定です」(宮野氏)

 新サービスの登場によって、既存のユーザーの利用動向がどう変化するかが分かるのも、キャッシュレス化してユーザーの利用状況をほぼすべて把握できているおかげだ。

 「検証の段階で状況の良し悪しが分かるのも、データが全部見えているからです。もし我々にCRISP REPLENISHしかなかったら、お客様は全員初めてのユーザーになるので、データを集めるのにすごく時間かかってしまいます。

 しかし我々は、CRISP SALAD WORKSの店頭で購入いただいた4〜5年分の客様のデータを持っています。そのデータを使うことでよりスピーディー経営判断にできる点は、我々ならではの強みだと思っています」(宮野氏)

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