今、ビックリマンブームが再燃している理由:一大ブームの仕掛け人たち(1/5 ページ)
2000年ごろに到来した2度目のブーム以降、販売が大きく低迷し続けていた「ビックリマンチョコ」。このままこのブランドが忘れ去られてしまうのではという危機感の中、打ち出したアイデアがいかにしてヒットにつながっていったのだろうか。
一大ブームの仕掛け人たち:
古今東西、日本中の多くの消費者を巻き込み、社会現象になるほどまで盛り上がった一大ブームというものがある。そこには仕掛け人と呼べる人々の存在があることは言うまでもない。
本連載では、そうしたブームを作り上げた人たちがその熱狂の裏側を自身の言葉で語っていく。第一弾はロッテの菓子商品「ビックリマンチョコ」を取り上げる。
1977年に発売した「ビックリマンチョコ」は当初のギャグ路線が消費者に受け入れられず、商品ブランド消滅の危機を迎えていた。そうした中で生まれた「悪魔VS天使シリーズ」が爆発的なヒットとなり、年間4億個を売り上げるまでになった。
2000年前後には第2次ブームが到来。しかしながら、ブームはそう長くは続かず、再びビックリマンが冬の時代に突入したことは前回お話した。
しばらく低迷が続いた後、2012年に復刻版として発売した「ビックリマン伝説」は大きな反響を呼んだ。このころのビックリマンブランドは、コアファンである30〜40代(1985年当時のビックリマン世代)に強く支持されていた。子どものころにできなかった“大人買い”をするファンも多かった。ただし、新規ファンはほとんどいない状態であったのだ。
筆者は2013年からビックリマンのブランド担当になった。最初にこのブランドの課題として感じたのは、今支えてくれている30〜40代のコアファン層が、仮に50〜60代になってビックリマンから遠のいてしまったら、ビックリマンというブランドは忘れられてしまうのではないかという危機感である。
いかにビックリマンを次の世代につなげていくかというのが最大の課題であり、挑戦となった。
ビックリマンの「強み」「弱み」
そこでまずは、ビックリマンの開発チームのメンバーと相談しながら、ビックリマンという商品やブランドについて、強みと弱みを分析した。
「強み」
- 1977年から38年間、売り続けているお菓子であること。
- 1985〜1989年の一大ブーム期に、子ども時代を過ごしたファンが多数いること。
- 商品が持っている強いイメージ(キラキラシールやホログラムシール、ウエハースの味など)。
- 1500体以上いる「悪魔VS天使シリーズ」のキャラクターの多さ。
- 全て集めてコンプリートしたいと思わせるコレクション性の強さ。
「弱み」
- 固定ファンに支えられている部分が大きい。
- ファンの裾野を広げない限り、ブランドの継続的な成長が見えない。
その上で、具体的に取り組もうとしたのは、コアファン層を大切にしながらも新たなファン(ライトな顧客層)獲得の施策を実施することで、全体のファン層の裾野拡大に力を入れていく方向への転換である。
新規ターゲットは、子どもから20代までの、ビックリマンに親しみを感じる人が少ない世代とし、ビックリマンを知るきっかけ、興味喚起を図れる施策の実施を目指した。
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