マツダとボルボがレストアプログラムを提供する意義:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/5 ページ)
先週、幕張メッセで開かれたイベント「オートモビル カウンシル」で2つの話を聞いた。この取り組みは、今後「自動車文化」を本当に豊かにしていくかもしれない。
2017年から初代ロードスターのレストアを
さて、話を戻す。文化がテーマなのは分かった。だが、何がどう文化なのか、そのあたりの今後の発展方向がまだ定かでないイベントだったが、オートモビル カウンシルのプレスカンファレンスで、今後「自動車文化」を本当に豊かにしていくかもしれない話を2つ聞いた。どちらもレストア(修復)の話だ。
マツダは初代ロードスターのレストア用部品の供給を2017年から始めるとアナウンスし、ボルボはレストアプログラムを既にスタートしたと発表した。
まずはマツダの話からだ。7月1日付けで、ロードスターの主査に就任した中山雅氏は、2017年から初代ロードスターのレストアプログラムを形にしていきたいとアナウンスした。
初代ロードスターの発売は1989年。既に26年が経過したことになる。特にユーザーの間で最も心配されているのは幌の供給だ。NAロードスターのビニール製の幌はその素材の供給自体を随分前にサプライヤーが止めてしまった。マツダは素材供給の終了前に大量の素材を発注してストックしていたのだが、蛇の道は蛇、去年あたりに「ビニール素材の幌の在庫がヤバいらしい」という情報がユーザーの間に回るや否や、あっという間にストックがなくなってしまった。
クロス素材の幌は現状でも供給ができるので、これまでの自動車メーカーの対応であれば「同等の機能を持つ部品を代替供給しています」という話になるのが普通。26年という歳月を考えると、それでも相当良心的だ。どこのメーカーとは言わないが、あまりにも早期に部品供給を止めてしまうので、新車を買う気がなくなったとユーザーがぼやいていることすらあるのだ。ところがマツダは「オリジナル通りのビニールじゃないと嫌だ」と駄々をこねるマニアにちゃんと向き合おうというのだ。
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