DeNAはなぜメディア運営方針を変更したのか:キュレーション問題で経営陣が謝罪(2/2 ページ)
DeNAは、12月7日に記者会見を開催。同社のキュレーションメディアが信ぴょう性の低い記事を掲載していた問題について、謝罪と経緯説明を実施した。
MERYだけ公開を続けようとした理由は?
なぜDeNAは、WELQの問題が発覚した際にキュレーションメディアを一括で非公開にせず、当初はMERYの存続を試みたのだろうか。守安社長は、運営体制の違いが原因だと説明する。
「MERYは、子会社化した後もペロリが独自に運営する体制を続けていた。オフィスも当社とは別のまま。残りの9つのメディアは、DeNAのキュレーションプラットフォーム事業部が運営し、執行役員の村田マリが管理していた」(守安社長)
ただ、村田氏にどの程度の責任があるかは明言せず。責任の所在は、第三者委員会の調査によって明らかにするという。
管理元が違うため、MERYとその他のメディアは執筆体制が異なっていたという。守安社長は、「MERYは知識をもたない外部ライターの起用を抑え、記事をほぼ内製化していた」と説明した。
「MERYに記事を執筆していた外部ライターは約10%程度。WELQなど9メディアの記事は、全体の9割を外部ライターが担当するなどクラウドソーシングに大きく依存していたが、MERYは学生のアルバイトやインターン、直接雇用したライターが執筆する場合が多かった」(守安社長)
また、ニュースサイト「Buzzfeed Japan」の指摘で明らかになった、他のメディアの文章を引用・模倣し、記事を大量生産するためのマニュアルも、MERYでは使用が確認されなかったという。
そこで当初は、MERYの記事は信頼性を担保できていると考え、一部の記事を非公開にするのみで存続が決定。しかし、「絶対」「抜群」「誰でも」「100パーセント」など、記事の正確性を誇張するような単語を機械的に検出したところ、合計約12万件の記事が該当。画像の出典元が不明な記事は約1万件見つかり、全体の8割に問題があることが発覚し、全記事非公開が決定した。
マニュアルは誰がいつ作った?
記事制作マニュアルについて、守安社長は「誰が作ったのか把握していない」という。2社を買収した時点で既に存在していたのか、買収後にDeNA側で新しく作ったのかといった時系列も謎のままだ。
ただ、DeNAがキュレーションメディア事業を開始する際に、かつて他のメディアから記事や画像を盗用して批判を受け、閉鎖に追い込まれたバイラルメディア「BuzzNews」の関係者が複数名参画している。BuzzNewsの元メンバーがマニュアル作成にどの程度関与していたのか、そして現在もDeNAに存在するのかは、いずれも現時点では不明。キュレーションメディア運営の指示系統についても、第三者委員会が究明にあたるとしている。
南場会長は、「前回の騒動を非常に反省していたため、採用を決めた。結果的に同様の問題を起こしてしまったため、我々の教育が甘かったと言わざるを得ない」と話した。
今後は第三者委員会が1週間以内に発足し、2〜3カ月かけて調査を行う予定。
経営陣は続投
守安社長は、「辞めるつもりはない。信頼を回復させ、企業を成長させたい」と続投する意向を明言。南場会長も、「私の一存で決めることではないが、可能であれば引き続き社長をやってもらいたい」と信頼を強調した。キュレーションメディア事業の関係者については、第三者委員会による調査で事実関係が明らかになり次第、人事制度にのっとって今後の処遇を決めるという。
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