画期的な発明をした『WELQ』の落とし穴:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
デタラメの医療情報を流していた『WELQ』の問題が、いまだ終息していない。「専門家による監修のないまま、根拠が不明確な医療関連記事を載せていた」ということだが、WELQのどこに問題があったのか。多くの人が、さまざまな見解を述べているが……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
デタラメの医療情報を流していると指摘されていたキュレーションメディア「WELQ(ウェルク)」の問題を受け、DeNA(ディー・エヌ・エー)の守安功社長が謝罪文を公表した(関連記事)。
そこで注目を集めたのは、「専門家による監修のないまま、根拠が不明確な医療関連記事を載せていた」ことについて「大きな間違いであった」という反省とともに、キュレーションメディアの運営手法についても調査を行った結果、以下のような問題が見つかったとお認めになった点だ。
共通する運営体制・方針の9つのメディア(WELQ、iemo、Find Travel、cuta、UpIn、CAFY、JOOY、GOIN、PUUL)に関して、マニュアルやライターの方々への指示などにおいて、他サイトからの文言の転用を推奨していると捉えられかねない点がございました。この点について、私自身、モラルに反していないという考えを持つことができませんでした。(プレスリリース)
では、これらのメディアはどんな「モラル」に反していたというのか。
いろいろな見方があるだろうが、個人的にはこの業界でちょいちょい露呈する「ステルスマーケティング」にも通じる「モラル」ではなかったのかと思っている。
既に報道されているように、これらのキュレーションメディアに掲載されている記事は「会員からの投稿」という体をとっているものの、実はその多くは外部のライターに発注してつくられている。ライターはマニュアルに基づいて、他サイトの記事をあれやこれやコピペして、それらしい体裁にするという「リライト」を施すという流れで大量生産され、それが検索上位にヒットするSEO対策として機能していたという。
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