東芝、また異例の「決算見通し」発表 上場廃止に現実味:監査法人の変更は「当面なし」(1/2 ページ)
東芝が2016年度の通期業績の「見通し」を発表。監査手続きは終えられておらず、正式な決算発表は延期する。概算での最終損益は9500億円に達したが、1年での黒字転換を見込む。
東芝は5月15日、2016年度の通期業績見通しを発表した。「見通し」とした理由は、同期の財務状況に関する監査手続きを終えられなかったため。正式な決算発表は延期し、今回の発表内容は概算値となる。現在は、一時は決別も報じられたPwCあらた有限責任監査法人と協力し、早い段階での決算発表に向けて監査手続きを進めているという。
東芝の綱川智社長は、暫定での業績発表に踏み切った理由を「期末から45日を経過したことを踏まえ、投資家・株主などステークホルダーの皆さまにこれ以上ご心配をおかけするわけにはいかないと考えたため」と説明する。
同日は東京証券取引所が定めた決算発表の締め切り日に相当。決算発表が間に合わなかったことで上場廃止の可能性も指摘されるが、綱川社長は「上場廃止については先方の判断に任せる。当社は一刻も早く決算手続きを完了できるよう努力していく」と話す。上場廃止を受け入れ、非上場企業として業績を立て直すという選択肢については「考えていない」(綱川社長)と強気な姿勢を崩さなかった。
16年度の業績「見通し」は?
同社の通期業績見通しは、売上高が前年度比2848億円減の4兆8700億円、営業利益が7530億円改善の2700億円。最終損益は4900億円悪化して9500億円の赤字だった。
4月11日公表の予想では5000億円の営業赤字としていたが、米原発子会社のWestinghouse(WEC)グループが米連邦破産法11条(チャプター11)を申し立て、決算時の連結対象から除外した影響で、一転して営業黒字となった。一方、事業の非継続化の影響を受けない最終損益は膨れあがる結果となった。
セグメント別の業績は、米原発事業など「エネルギーシステムソリューション」の売上高が9800億円、営業損益が360億円。財務基盤改善の根幹を担う「インフラシステムソリューション」は売上高が1兆2600億円、営業利益が580億円。フラッシュストレージなど「ストレージ&デバイス・ソリューション」は売上高が1兆7000億円、営業利益が2470億円だった。
綱川社長は「巨額損失の原因となった原子力事業以外はおおむね順調に推移している」と自信を見せた。
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