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「排せつ予知」に世界が注目 介護業界をどう変える?“失禁”が生んだ新技術(3/3 ページ)

2017年にサービスを開始した排せつ予知ウェアラブルデバイス「DFree」――。既に全国の介護施設から申し込みがあり、海外からも30カ国以上から引き合いがきているという。DFreeは介護業界をどのように変えていくのか。中西敦士社長に話を聞いた。

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人手不足を解決する起爆剤に

 2025年には団塊世代の全員が75歳を迎えるため、介護職員が約38万人不足すると言われている(厚生労働省の試算)。しかし、介護業界にはいわゆる「3K」(キツい、汚い、危険)と呼ばれる負イメージがつきまとっており、人手不足を引き起こしている一つの要因となっている。

 DFreeは、介護の中で最も過酷とされる排せつ介助業務の負担を軽減することで、その負のイメージを改善し、人手不足を解決する起爆剤にもなるかもしれない。

 「悪いイメージが変われば、人を集めやすくなります。『うちの施設はDFreeを導入している』というのが施設のブランディングになるわけです」

 今後、国内だけでなく世界各地で少子高齢化が加速していくため、介護の人手不足は世界共通の課題でもある。実際、DFreeは世界中から高い関心を集めており、既に仏国の介護施設でもDFreeの導入に向けた実証実験を進めている。

 同社は2017年中に欧州を中心に海外展開を加速させ、ゆくゆくは中国や米国の市場も開拓する計画だ。「世界でDFreeが当たり前に使われる社会を目指したい」としている。

 中西社長は「介護の問題を解決するためにも『介護の産業化』が求められている」と語る。

 「実質的には、介護という市場は存在していないに等しいと思います。介護保険制度のもと、巨大な慈善事業があるという感じですよね。介護という産業をきちんと作ることで、効率化を推し進め、それと同時にサービスの質を高めていく必要があります。そうすることで介護の問題は解決へと向かっていくのではないでしょうか」

photo 中西敦士社長
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