早稲田ラグビー元監督が明かす、失敗リーダーの典型とは?:中竹竜二氏×サイバー役員・曽山哲人氏対談(2/6 ページ)
早稲田大学ラグビー部の監督を務めた4年間で2度の大学選手権優勝を果たした中竹竜二氏。チームを率いるリーダーとして彼はどのようなことに取り組んできたのだろうか。またそこから見えてくる、失敗するリーダー、駄目な組織とは何か。サイバーエージェントの人事を統括する曽山哲人取締役と語り合った。
中竹: シーズン中に毎日見てるような大学チームと、日本代表のようにいろいろな選手が集まってきて、国として戦うチームは全然違うので、一概に比較はできません。
ただ、早稲田大学のラグビー部監督をやった4年間というのは、僕自身がコーチとして毎年成長しているのが分かりました。何せど素人から始めたわけですから。そうして4年目には自分が良いコーチになったという実感がありました。けれども、最も結果が出なかったシーズンだったんですけどね。
曽山: その4年間の大学選手権の戦績は?
中竹: 準優勝、優勝、優勝、ベスト8です。実は4年目のチームは、選手たちにも言っていたのですが、ポテンシャルが低くて、とても優勝など狙えるレベルではありませんでした。ところが、春先はボロボロだったのに、秋の関東大学対抗戦では優勝したのです。コーチとしてあんなチームをこれほどまでに強くしたという自負はありました。それくらいの成長率でした。
さて、今日のテーマである、強いチームをどうやって作るかということですが、何よりも大事なのは「成果」や「強さ」という定義をしっかり決めることです。
曽山: ああ、間違いないですね。成果定義をすることは本当に大事です。
中竹: 実際にはこれができなくて、リーダーやマネジメントの皆さんは路頭に迷っています。
例えば、強い組織と言っても、一発勝負で勝つチームなのか、シーズンを通して最後に勝つチームなのか、それとも3年間勝ち続けるのか、それぞれはまったく違うにもかかわらず、リーダーになった人たちは、他人が決めた成果や強さの定義に当てはめて、そこに向かって無理やりチームを作ろうとするので、とにかく売り上げを伸ばせなど、目の前の成果を出すことだけに執着します。何とか目標を達成したけれども、メンバー全員が疲弊して、もう2年目はやりたくないとなる。それは本当に良いリーダーでしょうか。
そうではなく、成果の定義をしっかり考えて、今のチームであれば1年間でここまでがベストだと、常にのびしろを残しながら目標を設定していくほうが、メンバーも継続してやる気を出せるのではないでしょうか。
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