ネット犯罪から子供を守る LINEなど15社が新団体:産学官一体で被害防止策を考案
LINEなどIT大手6社を中心とする事業団体「青少年ネット利用環境整備協議会」が発足。研究機関や警視庁と協力し、児童がコミュニティーサイトやSNS上で犯罪被害に遭うことを防ぐための取り組みを行っていく。
ディー・エヌ・エー(DeNA)、LINEなどネット6社が7月26日、児童を標的としたインターネット犯罪の防止に取り組む事業団体「青少年ネット利用環境整備協議会」を発足したと発表した。児童がコミュニティーサイトやSNS上で犯罪被害に遭うことを防ぐため、情報共有、調査研究、教育・啓発、勉強会など、合同でさまざまな取り組みを行っていく。
6社はDeNAとLINEのほか、グリー、サイバーエージェント、フェイスブックジャパン、ミクシィ。
児童がコミュニティーサイトなどをきっかけに犯罪被害に遭うケースが増えている。警察庁によると、2016年に被害に遭った児童数は過去最多の1736人に上った。コミュニティーサイト上で知り合った被疑者と児童が実際に会い、金品や性的関係を求められるケースが多いという。
同協議会にはネット6社に加え、アプリ開発のイグニスやナナメウエなどベンチャー9社、計15社が加盟。東京大学大学院 法学政治学研究科や一般財団法人 情報法制研究所、警視庁も参加し、それぞれの立場から提言などを行っていく。
具体的な活動内容は、(1)犯罪防止施策に関する成功例・失敗例の共有、(2)児童被害防止やインターネット利用環境の向上に関する調査・研究、(3)児童・保護者・学校関係者への啓発活動、(4)その他、児童被害防止に有効と考えられる施策についての勉強会――が中心になる予定。
今後は1カ月に1度のペースで会合を設け、活動を本格化する。会合の内容は外部には開示せず、施策の展開などによって具体的な成果が得られた場合のみ概要を公開するという。
LINEの江口清貴公共政策室長は「犯罪防止に効果があった施策と、そうではない施策の情報を各社で共有し、子供たちの安心安全に寄与するノウハウを見出したい」と話す。「早い段階で犯罪防止のための新施策を考案し、実行に移したい。早ければ2017年下半期の児童被害数を削減するなど明確な結果を出したい」(江口氏)という。
今後はTwitter Japanも参加する予定。江口氏は「加盟企業数に上限は設けない。団体の趣旨に賛同し、活動にコミットしてくれる企業がさらに増えてほしい」と話している。
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