失敗しない社内カフェへ 実体験から生まれた提案:オフィスから考えるワークスタイル変革(2/4 ページ)
オフィス家具メーカーのプラスが提案しているカフェスペース「5 TSUBO CAFE」。その提案が生まれた背景には、失敗を重ねながらオフィス改革とコミュニケーション活性化に取り組んだ自社の経験があった。
若手のアイデアで交流が生まれた
プロジェクトチームは、話し合いを重ねてさまざまなイベントの企画を練り上げた。その1つが、写真展。「夏休みの思い出」などのテーマでプライベート写真を募り、コミュニケーションスペースに貼り出す。趣味や家族など、仕事以外のオフの姿をきっかけにして、お互いを知る仕掛けだ。コミュニケーションスペースに自然に集まって、会話が生まれるようにする狙いもある。
プロジェクトが始動した当初は、社内で理解が得られず、上司から白い目で見られるメンバーもいたという。そこで、プロジェクトを会社公認とし、業務の一環に。作業時間を週1回、2時間と限定した上で、プロジェクトの活動も個人評価の対象にした。マーケティング統括部担当部長の田中延尚氏は「このプロジェクトは私たちのビジネスと親和性がある。その理解を社内に求めた」と語る。
写真展のほか、交流イベントの開催、あいさつ強化の取り組み、感謝を示す「ありがとうカード」の掲示など、試行錯誤を重ねながら社内を盛り上げてきた。社内では「仕事について相談しやすくなった」「みんなの顔と名前と声が一致するようになった」という声も聞こえてくるように。オフィスの設備というハードの部分だけ整えても効果は出ない。どう使うか、というソフトの部分の重要性をより強く実感できるようになった。
経験から生まれた「5 TSUBO CAFE」
その学びを盛り込んだのが、「5 TSUBO CAFE」の提案だ。カウンターや備品などをセットにしたカフェスペースで、1坪(約3.3平方メートル)以上のスペースがあれば導入できる。サークルタイプ、屋台タイプ、やぐらタイプの3パターンから、スペースや使い勝手に応じて選ぶ。現在、約40カ所に導入されている。
自社の経験を踏まえ、モノを減らしてスペースを作る「オフィスダイエット」も併せて提案している。移転や改装など、大掛かりなことをしなくても、書類を減らしたり、レイアウトを見直したりすることでスペースができる。それを有効に使うという小さな取り組みも、立派な改善になる。
もちろん、おしゃれなカフェスペースを設置するだけでは成功しないということも経験済みだ。人を集める仕掛けも充実させている。
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