加速する「電気飛行機」開発 空の移動はこう変わる:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
電気飛行機に関するプロジェクトが相次いで立ち上がっている。電気飛行機はコストが安く騒音がほとんどないという画期的な特徴を持っており、実用化が進めば空のタクシー化を一気に促すことになる。ウーバーのような予約システムが、タクシーだけでなくエアラインともシームレスにつながる可能性が高まってきた。
“空のウーバー化”が着々と進む
航空機はジェットエンジンはもちろんのこと、レシプロエンジン(ピストンエンジン)でも大きな騒音が発生する。このため、航空機の運用には多くの制約が伴うことになり、これがタクシーのような柔軟な運行の妨げになってきた。だが電気飛行機であれば、騒音の問題をほぼゼロにすることも不可能ではない。
これに加えて、電気飛行機はエンジンの構造がシンプルなのでメンテナンスの負荷が軽い。場合によっては運航コストを大幅に削減できる可能性があり、自動車のEV化と同じインパクトを航空業界にもたらすことになる。もし、安価な小型電気旅客機の開発に成功すれば、短距離路線において柔軟に航空機を運航することが可能となり、航空輸送の世界は一変することになるだろう。
既に米国では、空のウーバー化(シェアリングエコノミーの活用)がかなりのレベルまで進んでいる。米国では富裕層や企業のマネジメント層などを中心に、定期便の旅客機ではなくプライベートジェットを利用するケースが多い。既に2万機を超えるプライベートジェットが米国内で運行しており、実際、米国の大都市近郊にあるプライベートジェットの飛行場に行くと、ひっきりなしに航空機が離着陸する光景を目にすることができる。
日本ではプライベートジェットというと、超富裕層が利用するものというイメージが強いが、米国では必ずしもそうとは限らない。プライベートジェットを自ら所有し、自分専用に運行している人はごくわずかであり、多くのプライベートジェットのオーナーは、利用しないときには飛行機を時間単位で貸し出し、そこからのレンタル収入で高額な維持費の一部を賄っている。ファンドやリース会社が運用するケースや、ホテルのタイムシェアのような形で複数人が所有する形態も多い。
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