テスラのEVトレーラー コスト削減効果はどのくらい? 試算してみた:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
EVメーカーのテスラがバッテリーで動く大型トレーラーを投入する。ディーゼルエンジンで動く既存車両と比較した場合、EVトレーラーはコストが安いという特徴がある。次世代の大型車両には燃料電池車が最適と言われてきたが、こうした常識も変わってしまう可能性が出てきた。
米テスラモーターズは11月16日、EV(電気自動車)トレーラー「Tesla Semi」を2019年に投入すると発表した。航続距離が300マイル(約480キロ)のモデルと、500マイル(約800キロ)のモデルの2種類があり、価格は300マイルのモデルが15万ドル(約1700万円)、500マイルのモデルが18万ドル(約2000万円)となっている。
同社では、ディーゼルエンジンで駆動する従来の大型トレーラーと比較して大幅にコストが安く済み、約20万ドル(約2200万円)の削減が可能と主張している。トレーラーは商用なので、コストは重要な問題であり、もしテスラの主張が正しいなら、大型トレーラーの分野でも一気にEVシフトが発生する可能性がある。
Semiは詳細な仕様が明らかになっているわけではないが、現時点で判明している情報からコスト面について考察してみたい。
前述したように航続距離300マイルのモデルは車両価格が1700万円だ。車両重量や積載荷重の詳細は不明だが、8万ポンド積載時の加速性能が開示されているので、とりあえず積載荷重を8万ポンド(36トン)と仮定しよう。日本で用いられている大型トレーラーの中でサイズの大きいものは、積載荷重が30トン程度、総重量が40トン程度なのでこれを比較対象とする。
このクラスの新車の希望小売価格は1700万円〜2000万円程度だが、かなりの値引きが行われるので、現実には1000万円台半ばでの購入が可能と考えられる。テスラが提示した価格は、蓄電池の価格下落も見越した戦略的なものだとされる。従ってテスラには値引きはないと仮定すると、若干、テスラの方が購入コストは高いという結果になる。
乗用車ならトータルコストのうち購入コストが多くを占めるが、商用のトラックの場合はそうはいかない。運用コストの比率が高く、この部分をどの程度に抑えられるのかによってトータルコストは大きく変わってくる。
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