2030年に5割を電動に トヨタ、パナソニックと提携でEV開発加速:ナンバーワンの電池を目指す
トヨタ自動車とパナソニックはEVなどに使用する車載用電池で協業の検討を始めた。トヨタは2030年までに販売台数の約50%を電動車両にする目標を掲げる。
電気自動車(EV)の領域で主導権を握れるか――。トヨタ自動車とパナソニックは12月13日、EVなどに使用する車載用電池事業について、協業を検討することを発表した。
トヨタの豊田章男社長は会見で、EVなどの電動車の販売拡大に言及。「2030年ごろに全販売台数の約50%の550万台を電動車両にする」と目標を掲げた。電動車にはEVのほか、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を含む。そのうち、HVとPHVで現在の3倍となる450万台を目指す。
そのために不可欠となるのが電池の開発だ。豊田社長は「大変革の時代を生き抜くには、日本で競争力のある電池を開発し、安定供給できる体制を確立することが必要。電池の開発、供給には多くの課題があり、電池会社、自動車会社の単独の努力では解決できない。その課題に一緒に取り組みたい」と話した。
トヨタとパナソニックは1953年から取引関係にある。パナソニックは車載用電池のトップメーカーで、トヨタにはHV用電池を供給してきた。
両社は「業界ナンバーワンの車載用電池」の開発を目指し、角形リチウムイオン電池事業で協業を模索する。パナソニックは円筒形リチウムイオン電池で実績があり、米Tesla(テスラ)などに供給している。パナソニックの津賀一宏社長は「円筒形電池の技術は蓄積してきた。しかし、将来的に自動車メーカーが求める電池は何かを考えると、別の答えになるかもしれない。今回の角形電池の取り組みで、高容量で安全な、車の設計がしやすい形にしていくという新たなチャレンジをしたい」と語った。
角形電池のほか、リチウムイオン電池よりも高性能な全固体電池を含む次世代電池について、取り組みを検討する。また、電池の再利用やリサイクルなど、総合的な取り組みを展開していく。
豊田社長は「(燃費や排出ガスの)規制のスピードに、電池開発のスピードが追い付いていないのが現状だ。30年の目標を達成するのは、今のままでは難しい。他社とのアライアンスによって、もっといい車づくり、電池づくりにつなげていく」と、電動車の開発に他社との連携が欠かせないことを強調した。
トヨタはEVの技術開発と普及に向けて連携を強化している。マツダやデンソーと技術開発の新会社を設立。スズキとは、20年ごろにインド市場でEVを投入するために協力する。
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