トヨタ、2期ぶり増益予想 円安効果も「実力はまだまだ」:減益予想から一転(1/2 ページ)
トヨタ自動車の2018年3月期は2期ぶりに増収増益になりそうだ。8月公表の減益予想を一転。為替が円安に推移している影響が大きい。苦戦している北米を中心に、さらなる収益改善を急ぐ。
トヨタ自動車の2018年3月期の連結業績が、2期ぶりの増収増益になりそうだ。11月7日に発表した営業利益予想は前期比0.3%増の2兆円。8月公表の減益予想を一転させた。為替が当初の予想より円安に推移していることに加え、経費の減少などが寄与する見通し。利益が大幅に減少している北米を中心に、さらなる収益改善を急ぐ。
新型カムリで北米事業の回復狙う
18年3月期の業績予想は、売上高が3.3%増の28兆5000億円、純利益は6.5%増の1兆9500億円。売上高は据え置いたが、利益予想を上方修正。増益予想に転じた。
営業利益は為替変動の影響で650億円、原価改善の努力で200億円、経費減少などで500億円、それぞれ従来予想から上積みした。通期の想定為替レートは、従来予想よりも米ドルで1円円安に見直し、1ドル=111円に設定した。
前期と比較すると、営業利益予想は増益に転じたものの、その要因は為替変動の影響が大きい。為替などの影響を除くと、1850億円の減益となる。コスト低減などの原価改善を進めているが、資材価格の高騰や北米市場での苦戦などが響いている。
グループ総販売台数計画は1025万台とし、据え置いた。地域別で見ると、スポーツタイプ多目的車(SUV)「C-HR」の販売が好調な欧州の販売台数予想を上積みした。
最大市場の北米は、上半期の営業利益が前年から半減。主力セダンの新型「カムリ」を軸に、収益改善を急ぐ。北米市場では、セダンのような乗用車よりも、SUVやピックアップトラックなどの需要が旺盛になっている。販売店に対するインセンティブ(販売奨励金)の増加傾向も続き、市場環境は厳しい。
会見した永田理副社長は「乗用車のミッドサイズセグメントの市場が縮小する中、新型カムリは大変高い評価をいただいており、計画通りに販売できている。インセンティブの抑制などにより、北米事業の収益に寄与するだろう」と話した。また、売れ筋となっているSUVの「ハイランダー」「RAV4」「C-HR」やピックアップトラック「タコマ」の現地生産能力を増強し、需要に対応する。
同時に発表した17年4〜9月期の連結業績は、売上高が前年同期比8.6%増の14兆1912億円、営業利益は1.8%減の1兆965億円、純利益は13.2%増の1兆713億円だった。
会見した永田副社長の主な発言は次の通り。
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