トヨタ、2期ぶり増益予想 円安効果も「実力はまだまだ」:減益予想から一転(2/2 ページ)
トヨタ自動車の2018年3月期は2期ぶりに増収増益になりそうだ。8月公表の減益予想を一転。為替が円安に推移している影響が大きい。苦戦している北米を中心に、さらなる収益改善を急ぐ。
増益予想だが「実力はまだまだ」
――17年4〜9月期決算をどう受け止めるか。
上半期の営業利益は203億円の減少だったが、為替変動の影響を除くと1100億円の減益になる。まだまだやるべきことがあると考えている。特に北米事業の収益が悪化している。通期の営業利益は上方修正して増益予想としたが、為替変動の影響が大きい。実力としては前期比1850億円の減益となり、まだまだだ。
――米国で苦戦しているのはなぜか。
消費マインドは冷えていない。一定の需要はある。しかし、お客さまが求めるものが乗用車からSUVやピックアップトラックにシフトしていく傾向が続いている。さらに、市場ではリース期間を満了した乗用車が増えており、乗用車の中古車価格の下落に影響している。この状況は今後2〜3年は続くだろう。乗用車はインセンティブの競争も大変厳しい。改善できていない車種もある。
――北米事業の収益改善策は。
主力モデルの新型カムリについては、お客さまから大変良い評判をいただいている。インセンティブの削減に貢献すると考えている。また、これまでは売れ筋のSUV、ピックアップトラックの現地生産能力にボトルネックがあったが、計画的に生産能力を増強している。より早くお客さまが望む車種を届けられるようになる。金融面では、リース満了時の再販売価格の残価設定を適正化し、ローンの貸し倒れ率も改善している。
――国内販売は好調に推移している。
日本のお客さまには、新たに導入した「ルーミー」「タンク」のような小さな箱型の車に対する引きが強い。国内販売を支えている存在だ。C-HRのような性能、デザインを重視したモデルも好評を得ている。魅力ある商品づくりと販売店の努力が相まって、評価していただいている。今後もお客さまが求めるものをタイムリーに提供していけば、国内販売を維持、成長させていくチャンスはある。
――競争力強化に向けて「攻め」と「守り」の取り組みを掲げている。どういう意味か。
未来のモビリティー社会の構築のために、いろいろなところに人的リソースや経済的なリソース、知恵などを投入しないといけない。これが「攻め」の分野だ。同じ思いや情熱を持っている会社と連携して積極的に進めていく。マツダ、デンソーと電気自動車(EV)共同開発の新会社を設立したのはその一例になる。
「守り」については、16年4月に導入したカンパニー制によって取り組みを進めている。製品群ごとの7つのカンパニーを設け、各カンパニーのトップが一貫して責任を負う仕組みで、それぞれのカンパニー内で成果が出始めている。各カンパニーが担う既存のビジネスの中で、まだまだ賢いお金の使い方があると認識している。こういった取り組みが「守り」。体力を鍛えて、将来の「攻め」のために資金力、人材力、知恵を蓄えていく。
――EV開発の新会社にはスズキやSUBARUも参加を検討している。
EVを幅広く普及させる、かつお客さまの手が届く価格で提供する、さらにコモディティ化させないという、難しい条件を両立させないといけない。その取り組みの中でマツダとやろうとしているのが、一括企画。基本構造や基本設計思想について、小さい車から普通サイズの車、大きい車、トラック系まで、共通のものを構成していく。それがEVのコストを下げるという意味では重要になってくる。
特定の会社だけでなく、賛同していただける会社があれば、オープンに、力を合わせて、よりよい電動化戦略に取り組んでいきたい。今後、いろいろな会社の参加に期待している。
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