カヌー騒動の波紋が、学生にも広がり始めている:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)
日本のカヌー界が大きく揺れている。日本選手権に出場した小松正治選手の飲み物に、ライバル関係にあった鈴木康大選手が禁止薬物を混入。大きな波紋を広げているなかで、その影響は中高生にも出始めているという。どういうことかというと……。
衝撃のストーリーが現実に
鈴木選手は年下の小松選手と本物の兄弟のように親しい間柄だった。ライバル関係にあるといってもお互いに存在を認め合い、時には良き相談相手として何でも本音を話せるじっこんの仲とカヌー界の中でも評判だった。だからこそ小松選手がドーピング検査に引っかかって処分を受けた直後、真っ先に電話を入れた相談相手は皮肉にも鈴木選手であった。
まるで映画やテレビドラマの題材になりそうな衝撃のストーリーが現実になってしまったのだ。ただ、この騒動は実を言えばカヌー界だけでなく他のアマチュアスポーツ界にまで徐々に拡大していきそうな懸念が見え隠れし始めている。
筆者は平昌五輪に関する取材が日に日に増えていて、最近は日本オリンピック委員会(JOC)の関係者と会う機会が多い。この騒動直後、同関係者の1人が気になるコメントを発していた。
「人間ならば誰でも大なり小なり奥底にある“闇”の部分が出てしまった。普通ならば『やってはいけない』という理性が働くから、こんな愚かなことはやれるはずがない。ところが、この騒動では人間の理性によって起こるはずがないと思われていた『防波堤』が完全に決壊してしまったのだ。今後は第2、第3の鈴木選手が現れる前に我々は策を講じなければいけない」
今回のカヌー騒動によって、あまりにもナーバスになって警戒し過ぎると無実の人間を陥れるハメになり、逆に大きなマイナス要素へとつながってしまうかもしれない。同関係者によれば、特に中高生たちにおいて気になる報告がきているという。その一部を紹介する。
「ある高校のスポーツ部活動で使用する飲料用のマイボトルに選手たちが“何か混入されるかもしれない”と過剰に神経を尖らせるようになった。その中の数人がインフルエンザになって体調を崩すと、それまでボトルを管理していたマネージャーが“お前が何か入れたんじゃないのか”と完全な濡れ衣を着せられて一部から嫌がらせを受けるようになってしまっている」
「同じ高校のチーム内にいるライバル同士の部員が今回の騒動をニュースで知った後、なぜかお互いが口をきかなくなって距離を置き始めた。聞き取りをしたところ、それぞれが『カヌーの鈴木みたいに、こいつはオレをどうにかして落としてやろうと思っているに違いない』『こいつこそ自分の飲料水や食べ物に何か変なモノを混入して、自分の足を引っ張ろうとしているに違いない』などと語り、疑いの目を向け合っている。同じチームのメンバーとして団体戦にも打って出なければいけないのに、顧問は『このままではどうすればいいのか』と頭を抱え込んでいる」――。
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