「量を減らしたら売れた」 くら寿司の好業績を支えた意外な商品:この手があったか(1/2 ページ)
くら寿司を運営するくらコーポレーションの業績が好調だ。好業績を支えたのは新規投入したイタリアンメニューや糖質オフの商品だが、意外にも量を減らしたことで売り上げを伸ばしたものがあるという。
「くら寿司」を運営するくらコーポレーションの業績が好調だ。6月6日に発表した2017年11月〜18年4月期の連結決算は純利益が前年同期比7.3%増の26億円となった。好業績をけん引したのは、提供する量をあえて減らした“あの商品”だった。
「女性と高齢のお客さまに好評でした」
くらコーポレーションの広報担当者がこう説明するのは17年8月にスタートした「糖質オフシリーズ」だ。糖質オフ麺が入った「冷やし中華はじめました」(税抜370円、以下同)や「胡麻香る担々麺」(370円)、シャリの代わりに大根の酢漬けを使った「シャリ野菜シリーズ」(100円)などがある。シャリ野菜シリーズには、「えびマヨ手巻き」「サラダチキン」「(にぎりずしの)えびとビントロ」があり、ダイエットをしているお客だけでなく、糖尿病患者にも好評だという。
糖質オフシリーズにはほかにもにぎりずしのシャリを半分にした「シャリプチシリーズ」があるが、「これが最も支持された」(広報担当者)。
同社は、シャリプチに対応したすしの種類を17年8月から増やし続けてきた。もともとは、お年寄りやダイエット中のお客がシャリを残していることから開発をスタートしたという。18年2月にはタッチパネルでシャリの量を選択できるようにして、注文しやすいようにした。その結果、お客から「また食べたい」「糖質オフのおすしのアイデアはすばらしい」といった声が寄せられているという。6月時点でシャリプチはにぎりずしのほとんどに対応している(一部店舗除く)。
実は、くら寿司は数年前にもこんにゃく麺を使った糖質オフ商品を発売したが、「受け入れられなかった」(同社の商品開発部担当者)経緯がある。再チャレンジが成功した背景にあるのは、糖質オフダイエットに興味を持つお客が増えたことはもちろん、糖質オフ商品の品質をアップさせたり、注文の利便性を向上させたりしたことがある。
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