プラ製ストローは「日本では廃止されない」? 国内トップメーカーが主張する理由:リサイクルこそが本当の課題(1/2 ページ)
プラスチック製ストローの使用を廃止する動きが海外で盛んだ。だが、国内トップのストローメーカー・シバセ工業は「日本では廃止されない」と予測する。それはなぜか――。
環境保護に対する意識の高まりを受け、プラスチック製ストローを廃止する動きが海外で広がっている。米McDonald'sは、9月から英国とアイルランドの計1361店舗でストローを紙製に切り替えるほか、米Starbucksも、2020年までに全世界でプラ製ストローを廃止し、ストローがなくても飲めるふたを導入する計画だ。
海外の動きを受け、日本マクドナルドもストローの切り替えを検討するという。スターバックスコーヒージャパンは、20年までにプラ製ストローを廃止する方針をすでに固めている。
こうした動きは今後さらに加速し、プラ製ストローは国内の飲食店からいつか消えてしまうのだろうか。その場合、国内ストローメーカーには大打撃が生じる可能性もあるが、各社は生き残れるのだろうか――。
プラ製ストローは日本ではなくならない?
国内トップのストローメーカー、シバセ工業(岡山県浅口市)は「今後も国内市場からストローがなくなることはないだろう」(営業部、以下同)と強気の姿勢を見せる。
「プラ製ストローの廃止を始めたのは一部の外資系企業だけ。国内メーカーから『取引をやめたい』などの連絡はほとんど来ていない。今後も多くは来ないだろう」という。
同社にその根拠を聞いたところ、国内でプラ製ストローの廃止が進まない最大の理由は「代替品として期待されている紙製ストローに多くの課題があるため」という。
飲んでいると中身が飛び出る? 紙製ストローの課題とは
同社によると、その課題は(1)コストの高さ、(2)耐久性の低さ、(3)粉の出やすさ――の3点だ。
「紙製ストローは、製造コストがプラ製の4〜10倍かかるため、比例して価格も高く、導入企業の原価を圧迫するだろう。強度にも問題があり、20〜30分間水分に浸しておくとふやけ、飲んでいる最中に飲料が外に飛び出す危険性もある」と同社は指摘する。
「トイレットペーパーの芯などと同様、原紙を巻いて製造している特性上、紙の粉なども生じやすい。粉が中身に溶け出して品質が悪くなることも考えられる」という。
今後は外資系企業を中心に、いったん紙製ストローに切り替えたものの、問題が生じてプラ製ストローに戻す企業が出てくる可能性もあるとしている。
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