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「ローソン銀行」ついに始動 キャッシュレス決済、地銀の支援、お釣り預金など提供へ独自クレカも発行

ローソン銀行が9月10日に開業。ローソンの竹増貞信社長らが会見を開き、事業方針を説明した。キャッシュレス決済、お釣り預金、地銀の支援などを実施していくという。

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 ローソン子会社のローソン銀行が9月10日、開業した。8月10日に銀行業の営業免許を取得済みで、10月15日にサービス提供を始める予定。開業当初は、提携金融機関を拡大するなどATMサービスの機能拡大を図るほか、個人・法人向けの預金口座とインターネットバンキングサービスを提供していく。2019年1月をめどに、独自のクレジットカードを発行する。

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ローソン銀行の山下雅史社長(=左)、ローソンの竹増貞信社長(=右)

 今後数年以内に、(1)新たなキャッシュレス決済サービス、(2)提携する地域金融機関のコスト削減やチャネル拡大などに協力するサービス、(3)個人客が買い物した際にお釣りを預金できるサービス――などもスタートする予定。

 ローソンの竹増貞信社長は「クレジットカード、デビットカード、QRコード、電子マネーなど、多様な決済方法が乱立している時期に銀行を開業できたのは非常に大きい。顧客にとって利便性が高いサービスは何なのかを考えていきたい」と意気込みを語った。

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ローソン銀行のビジネスモデル

キャッシュレス決済はどんなものになる?

 キャッシュレス決済を始める理由は、「日本のキャッシュレス決済の普及率は20%で、韓国やスウェーデンなどよりも低い。日本政府がこの比率を25年までに40%に高める目標を掲げており、当社もこれを実現したいと考えているため」(竹増社長)という。

 ただ、「日本で爆発的にキャッシュレスが広がるとは考えにくい」ことから、当初はATMによる手数料収入を主な収益源とする。

 サービスの概要については明言を避けたが、ローソン銀行の口座がひもづいたものになる予定で、スマートフォンアプリを店頭でかざすと決済できる案などを検討中。一部店舗で実験が進んでいる「ローソンスマホペイ」とは異なる仕様を想定しており、個人間送金などにも対応するという。

 方式は、QRコード、バーコード、NFC(近距離無線通信)などが候補。ローソン銀行は顧客の取引データを取得・分析し、個人のニーズに応じた商品開発や、コスト構造の改善を行うとしている。

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ローソン銀行が提供予定のキャッシュレス決済の概要

地域の課題を解決

 ローソン銀行はこのほか、地方銀行や地域の商店との連携を深め、地域社会を活性化する役割も担う方針。ローソン店舗内に出張所を設け、ローソン銀行や地銀が顧客からの相談などを受け付ける案も視野に入れている。午後3時以降の接客に対応し、従来の金融機関と差別化を図る狙いがある。

 ローソン銀行の山下雅史社長は「日本の金融機関を取り巻く環境が厳しくなっている現代において、あえて当社が銀行業に参入する理由は、銀行とお客さまの関係に改善の余地があると考えたためだ」と説明。

 地銀とATMを共同運営したり、金融商品の販売に協力したりする計画もあるといい、山下社長は「全国に広がる1万3000台のATMを生かし、街の課題解決を応援したい」と話した。

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地域金融機関のサポートも手掛けていく

 お釣りを預金できるサービスの詳細は、現時点では非公表で、決まり次第開示する。ローソンの店頭で、投信などの金融商品を販売する案もあるという。

ためらいなく使って

 当初は、500万人の利用者獲得を目標に掲げる。竹増社長は「過去にローソンの前を素通りして銀行にお金を下ろしにいく人たちを目にし、『なぜローソンのATMで出金しないのか』と聞いたことがある。すると、『ローソンは銀行じゃないから』との答えが返ってきた。だが、ローソンは今日から正式に銀行になった。これからは、消費者にためらいなく使ってもらいたい」と期待を語った。

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