RISCからエンタープライズアプリの奪取を狙うItanium

「ItaniumはRISCプロセッサを置き換えていくし、現に置き換えている」とIntelのサーバ向けプロセッサ担当者は語る。

» 2004年06月02日 23時10分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「Itaniumの目的はRISCプロセッサを置き換えることだ」――Intelでサーバ向けプロセッサを担当するジェイソン・ワクスマン氏(エンタープライズ・マルチプロセッサ・プラットフォーム・マーケティング・ディレクター)は、6月2日に行われたプレス向け説明会の席でこのように断言した。

 インテルはこの4月より順次、Itanium 2の新製品(Madison)の出荷を開始している。これらのデュアルプロセッサシステム向け製品に加え、2005年には1つのシリコン上に2つのプロセッサコアを搭載した「Montecito」を投入し、ハイエンド向けプロセッサのデュアルコア化を進めていく計画だ。

 これらItaniumファミリによって、Sun MicrosystemsやIBMが提供するRISCプロセッサからの移行を促していくとワクスマン氏は述べる。

ワクスマン氏 グリッド化を背景により高速でコスト効率に優れたアーキテクチャが求められていると述べたワクスマン氏

 具体的にターゲットとしているのは、データベースシステムのほかERPやSCM、ビジネスインテリジェンスといったエンタープライズアプリケーションのプラットフォームだ。「従来こうしたアプリケーションはRISC上で動作していたが、Itaniumには価格やパフォーマンスの面でアドバンテージがあり、劇的に低いコストのシステムを構築できる」(ワクスマン氏)。AMD Opteronが視野に入れているハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野での導入もにらんでいるという。

 「既に移行は起こりつつある」(ワクスマン氏)。同氏はIDCの調査結果を元に、IAがRISCを上回るのにそれほど時間は要しないだろうと語った。

 同氏はさらに、いくつかのベンチマーク結果を引き合いに出してItaniumの優位性を力説した。「SPARCやPower4プロセッサと比較すると、Itaniumのほうが高いパフォーマンスを示している。ではPower5はどうかというと、パフォーマンスは10%程度しか上回らないが、コストはItaniumよりもずっと高くつく」とワクスマン氏は述べた。

 もちろん、こうした移行を実現するには、アプリケーションベンダー側の協力は不可欠だ。たとえば、あるアプリケーションが複数のコアにまたがってきちんと動作し、パフォーマンスも向上するよう、ソフトウェア業界との協力が必要になってくるという。

 ワクスマン氏はまた、Xeonとの差別化についても触れた。端的に言ってしまえば、ワークステーションやWebサーバといったフロントエンドサーバについてはXeon、ミッドティア(アプリケーションサーバ)からハイエンドなエンタープライズアプリケーション、HPCはItaniumという分担だ。別の切り口で言えば、Itaniumの目的が64ビット環境におけるRISCのリプレースならば、Xeonは引き続き32ビットアプリケーションの基盤として利用されるという。

 「これら2つのプロセッサにはそれぞれ異なる目的があり、うまく補完していけると思う」(ワクスマン氏)。

 ただ一方で、「Itaniumは非常に高価だといわれてきたが、現時点でも、マルチプロセッサシステムにおけるコストパフォーマンスはXeonとほぼ同じレンジ。同じパフォーマンスを少ないプロセッサで実現できることから、TCOは30%削減できる」とも言う。引き続きItaniumの低価格化/高速化を進め、2007年ごろにはXeonとほぼ同程度の価格で2倍のパフォーマンスを実現するという。

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