SF作家、「ネットは無秩序過ぎる」と警鐘

» 2004年06月09日 12時22分 公開
[IDG Japan]
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 SF作家のブルース・スターリング氏が6月8日、米首都ワシントンで開催のGartner IT Security Summitに出席、インターネットは「ぞっとする混乱」の中にあるのに、ウイルス作者やスパマーの取り締まりに前向きな米政府高官はほとんどいないと指摘した。

 同氏は、インターネット上では無秩序と腐敗がはびこっており、ネットを食い物にする盗人を取り締まるには、米政府の助けが必要だと主張する。

 『Heavy Weather』『Islands in the Net』といった未来小説やハッカー追跡のノンフィクションなどで知られるスターリング氏は、この日、1時間にわたってサイバーセキュリティ現状批判を展開した。

 「1990年代、デジタル革命を迎えた私たちだが、今や、デジタルテロに向かおうとしている。今日のインターネットはみだならな混乱状態にある。これは革命の失敗だ。電子商取引はしばらくの間、非常に独創的だったが、その財政モデルは破たんした。財務システムの管理がお粗末で、産業ポリシーはもっとだめだった。そして結局、見せ物的なブームとその崩壊に終わっている」

 スターリング氏に言わせれば、ドットコム崩壊後のインターネットコマースの発展の大半は、スパム送信やなりすまし、フィッシング詐欺など不法なものばかり。

 同氏は、サイバーセキュリティについての数少ない良いニュースとして、Sasserワームを作成したとされるドイツの18歳の少年を含め、数人のウイルス作者が最近逮捕されたことを挙げた。「この世界から、反抗的な十代が絶滅することは決してないだろう」と同氏。

 すぐ捕まってしまった18歳のウイルス作者の存在を、スターリング氏がそれほど懸念しているわけではない。それよりも自分が気になるのは、Slammer、Code Red、Wittyなどをばらまき、いまだ逮捕されていないウイルス作者たちだという。(→詳細記事)

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