ブラックリスト照合にあいまい検索を持ち込むインテリシンク

インテリシンクは6月から既存のデータベースのあいまい検索を可能にするサーバソフト「Indentity System」(IDS)の販売を開始した。このソフトは米国では金融機関などのブラックリスト照合に利用されているという。

» 2004年06月11日 09時38分 公開
[堀 哲也,ITmedia]

 「米国ではリスクマネジメントに使われています。日本でも使えるのではないかと思うんです」。インテリシンクの副社長の鈴木尚志副社長は目を輝かせて言う。米Intellisyncが3月に買収を完了した米Search Software America(SSA)のあいまい検索サーバソフト「Indentity System」(IDS)を、その日本法人インテリシンクが6月販売を始めた。

 IDSは、個人名や商品名など物を特定する情報に対して利用できる検索ソフト。入力ミスや表記ゆれなどがあっても、それに惑わされずに検索結果を表示できるという特徴を持つ。複数の検索アルゴリズムを組み合わせ、それぞれでポイントを付けていく方法で、極めて近い情報を含めた検索ができる仕組みだ。

 海外では、入国管理局や税関といった政府機関をはじめ銀行・クレジットカード会社・保険会社といった金融機関などを中心に利用が進む。ブラックリストとの照合のため利用されているのだ。「米国の銀行ではブラックリストに登録された人物に送金してしまうミスが常に発生している。そのために毎年莫大な罰金を科されている状態でした」と鈴木氏は話す。

 例えば、オーガスト・シュナイダーという人物が当局から送金を禁止されているブラックリストに登録されていたとする。その人物は(1)「August Frederico R. Shuneider」、(2)「Augusta F. Ramos Schneider」、(3)「Augusto R. Shneidder」など言語を変えたり表記の方法を変えていたりする。これを単純検索で(1)のAugust Frederico R. Shuneiderと単純検索していたのでは、残りの(2)(3)は別の人物と判断されてしまう。

 そのため、金融機関は今までブラックリストとの照合を紙に打ち出し手作業で行っていた。IDSで検索すれば、すべての表記が同一人物である可能性としてリストアップされる。そこで各行、IDSにより照合作業を自動化することでミスを減らせると注目した。

 「この技術は日本でも使えるのではないかと思うわけです」(鈴木氏)。既に日本語の処理にも対応しており、海外企業向けに実際に日本語の顧客データを処理に利用されているケースもある。日本語での利用には問題ない。「鈴木太郎」「鈴木太朗」といった間違われやすい名前表記などもあいまい検索できるし、住所表記の方法の違いでしてしまう「3-8-10」「3丁目8番地10号」などの重複検索も可能だ。

 「コールセンターなどで利用すれば、問い合わせ顧客の特定時間を短縮ことになります」と鈴木氏は言う。IDSはデータベースのフィールドにどのような情報が入っているか特定できれば利用できる。商品名の表記ゆれなどにも当然対応可能だ。鈴木氏はまだ構想段階というが、企業の部門ごとに異なる種類のアプリケーションで利用されるデータベースの同期に、IDSのあいまい検索の技術を生かせれば、と将来の展望を語った。

 国内でも金融機関が興味を示し始めている。だが鈴木氏はさらに活用の場を広げたい。「インテリシンクはもともとデータベースの同期を得意としてきました。でも同期技術にはあいまい性のない世界。これにIDSの技術を活用すれば、新しいソリューションが生まれるはずです」。対応するデータベースはOrcle、DB2/UDB、SQL Server。OSはWindows、Linux、AIX、HP-UX、Solarisとなっている。価格は最小構成で1200万円から。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ