ビジネス・モビリティは「生活の質も変える」――ノキア基調講演

NetWorld+Interop 2004 Tokyoの最後を飾る基調講演に登場したNokiaのメアリー・T・マクドウェル氏は、同社が掲げるビジネス・モビリティ戦略とその可能性について説明した。

» 2004年07月03日 01時13分 公開
[ITmedia]

 「ビジネス・モビリティの進化によって、仕事のやり方が変わり、生産性の向上が実現されるだけでなく、仕事と生活のバランスをよりうまく取ることができるようになる」――。

 NetWorld+Interop 2004 Tokyoの最後を飾る基調講演に登場したNokia エンタープライズ・ソリューションズ 上級副社長兼ジェネラル・マネージャのメアリー・T・マクドウェル氏はこのように語り、同社が掲げるビジネス・モビリティ戦略とその可能性について説明した。

 これまでに実現されたモビリティの代表的なものは、携帯電話による音声コミュニケーションのモバイル化だ。それが今では、モバイルPCを通じて電子メールなどをやり取りできるようになり、さらには企業イントラネットや重要なアプリケーションへのアクセスまでが可能になっている。今後はモビリティの最終ステージとして、マシンtoマシンのコミュニケーションなどが考えられるだろうとマクドウェル氏は述べた。

 ただ、このようなモビリティを現実のものとしていくには、いくつか課題が残っているともいう。セキュリティや認証といった機能は不可欠だし、アクセス手法をクライアント型(IPSec)にするか、クライアントレスでいくかのポリシー決定も必要だ。また、モバイル機器の多様化を踏まえ、どのような機器からも同じようにアクセスできる環境の整備も必要である。さらに、GSM、無線LANやCDMAなど、複数存在している無線システム方式への対応も欠かせないとした。

 中でも、「セキュリティこそ、エンタープライズ・モビリティの重要なイネーブラ(成功要因)だ」(マクドウェル氏)。盗聴などの危険性を抑え、顧客を保護するといった観点からも、「モバイルの世界にも絶対にセキュリティを組み込んでいかなければならない」と同氏は語った。

 「『ビジネス・モビリティ』とは、単に最新型の携帯電話を持っていることではない。ビジネスとアプリケーション、インフラといった要素をすべて整え、強力で、安全かつ管理可能なソリューションを、アプリケーションベンダーとの連携の下、実現していきたい。これが可能になってこそ、真のビジネス・モビリティだと言える」(マクドウェル氏)。

 マクドウェル氏はさらに、モビリティがビジネスのあり方を、さらには生活の質を変化させる例として、デンマークで展開されている高齢者支援システム「MobileCare」に触れた。このシステムでは、医者やソーシャルワーカー、さらには患者自身が、体調や投薬履歴などの情報をモバイル機器を通じてやり取りしている。「患者とソーシャルワーカーのやり取りは、モバイル機器によって支えられている」(同氏)。

 このケースでは、モバイル化によって医療システムのコスト効率や生産性が改善された。だが、「何より大事なのは、病気になったときの対応が改善されるなどして、高齢者の方々の生活の質が高まったことだ」(マクドウェル氏)。

 「ビジネス・モビリティによって、事業上のメリットと生活の質の改善という2つの命題の間に、よりよいバランス関係が実現できる」(同氏)。さらに、そこには誰にでも開かれている大きな可能性があると述べ、同氏は講演を締めくくった。

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