特集:第2回 スタートアップ.NET――開発ソフトの現状と目的別使い方(前編)dev .NET(1/3 ページ)

いまから始める.NET特集第2回は、.NET Frameworkアプリケーション開発環境を紹介していく。開発基盤には、.NET Framework対応のコンパイラが必要であり、多くは、その上で動作するマイクロソフトの開発統合環境「Visual Studio .NET」を使う。次期Visual Studio 2005も見えてきた今、開発環境を再考してみよう。

» 2004年07月09日 13時55分 公開
[大澤文孝,ITmedia]

 第1回 スタートアップ.NET――基礎から始める.NETでは、「.NET」がどのようなものであるかの基礎を解説した。今回の第2回では、先に予定をしている「Visual Studio 2005」のトピック解説特集につなぐべく、開発基盤としての.NET Framework対応のコンパイラと、これを利用する開発統合環境としてのVisual Studioを再考する。この時期、基礎となる開発環境を知っておけば、スムーズにVisual Studio 2005へとつなげられるだろう。そして、第3回目の特集では、実際の開発でどのようなポイントがあるかを具体化していく。

Visual Studio .NET。次期バージョンでは「.NET」表記が無くなりVisual Studio 2005となる

開発基盤となっている.NET Framework SDK

 .NET Frameworkで開発する際に、基本となるコンパイラが、マイクロソフトの提供する.NET Framework SDKだ。.NET Framework SDK自体は無償であり、マイクロソフトの「.NET Frameworkダウンロード情報ページ」からダウンロードできる。

 また、.NET Framework SDKにはVB.NET、C#、JScript、C++に対応したコンパイラが付属している。これにより、テキストエディタなどでソースファイルを記述してコンパイルすれば、.NET Frameworkアプリケーションを作ることが可能だ。

開発言語
コンパイラコマンド(コマンドライン)
VB.NET vbc
C# csc
JScript jsc
C++ cl
MSILアセンブラ ilasm
MSIL逆アセンブラ ildasm

 たとえば、VB.NETのソースファイル「Sample.vb」がある場合、vbcコマンドを使えば、vbc実行可能なカレントで次の指定でコンパイルできる。


C:\> vbc Sample.vb

 コンパイル後には、EXE形式のファイルが生成されている。これはMSILコードを含むアセンブリであり、CLRがインストールされた環境では、そのまま直接実行できる。

 .NET Framework SDKを使った開発は、あらかじめテキストエディタを使ってソースファイルを記述し、それをコンパイルするという流れになる。そのため、非常に手間がかかり、ちょっとしたサンプルを作るならばともかく、本格的なアプリケーションを開発するには現実的といえない。

 特にGUIのユーザーインタフェースを必要とするアプリケーションを開発するには困難だ。なぜなら、フォームを作り、指定した位置にテキストボックスやボタンなどを配置するコードを自ら記述しなければならないからだ。だからといって、.NET Framework SDKが不要というわけではない。統合開発環境のほとんどすべては、.NET Framework SDKに付属のコンパイル機能(コンパイルのためのコマンドではない)を呼び出し、コンパイル作業をしている。

 統合開発環境によっては、統合開発環境をインストールするときに、.NET Framework SDKをいっしょにインストールするものもあり、.NET Framework SDKを事前にインストールしておかないと動作しないものもある。また、開発や.NET Frameworkアプリケーションの管理に必須のツール群も含まれている。たとえば、アセンブリに署名を付けるツールや、セキュリティの設定を確認したり設定したりするためのツールなどがある。

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