「機動力生かす」、三井物産のセキュリティ事業がスピンオフ

GTI、SecretSealといったサービスを提供してきた三井物産の情報セキュリティ事業が、新会社「三井物産セキュアディレクション」として分社化された。

» 2004年07月22日 20時48分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 三井物産は7月22日、同社の情報セキュリティ事業をスピンオフさせ、100%出資の子会社「三井物産セキュアディレクション(MBSD)」を設立したことを発表した。

 同社は2001年11月に「GTIプロジェクトセンター」を発足させ、不正アクセス監視やWebアプリケーションの脆弱性検査といったセキュリティサービスを展開してきた。つい最近も、SSL-VPNマネージドサービスや暗号電子メールASPサービスといった新サービスを発表したばかりだ。

 新会社は、セキュリティ専業企業として一連のサービスを引き継ぎながら、分社化による機動力を生かした事業展開を図る。

 三井物産情報産業本部セキュリティビジネス室長から、MBSDの代表取締役社長に就任した野村一洋氏によると、「三井物産という会社の中では、新サービスを展開しようとしても、どうしても社内稟議や調整などに時間をとられてしまう」。小回りの利く新会社という形態を取ることで、日々新たな脅威が登場するセキュリティの分野で、スピーディにサービスを展開していく方針だ。また、事業部としてではなく会社として取り組む姿勢を見せることが、市場への継続的なコミットを示すことにもなると野村氏は述べた。

野村氏 MBSDの社長に就任した野村一洋氏

 設立当初は、不正アクセス監視サービスやWebアプリケーション検査サービスを提供する「GTI」、PKIやセキュリティポリシー支援といった分野をカバーする「Trustella」、SSL-VPNや暗号メールによって安全なコミュニケーションを支援する「SecretSeal」という3ブランドのサービスを引き続き展開。さらにいくつか新たなサービスを追加していく計画だ。

 詳細までは明らかにしなかったものの、たとえば、過去の検査サービスで蓄積してきたノウハウを元に、安全なWebアプリケーション構築のためのナレッジをシステムインテグレータ向けに提供するサービスを検討しているという。他に、情報漏洩対策や企業内部のセキュリティ監視/監査といった分野にも力を注ぎ、パートナーとの連携も含めてサービスの幅を広げていく方針だ。

 情報漏洩の続発やサイバー犯罪の悪質化といった状況を背景に、情報セキュリティに対するニーズが高まっていることを踏まえ、「専門性に裏打ちされた高品質な付加価値サービスを展開していく」という。

 MBSDの社員は50人。設立日は7月9日で、8月2日から業務を開始する。3年後には、サービスやコンサルティングを合わせ、現在の約3倍の規模に当たる100億円の売り上げを目指すという。

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